旅は呼んでいる。
vol.50 ニューヨーク州
2020-12-24
「え、12月はこんなに寒いの?」。意気揚々とJFK空港に降り立ってみたものの、最低気温-7℃と予想外の寒さに震え、また雪景色に衝撃を受けた。ノリで来るとこういう事になる―その後さらに痛い目を見るとは露知らず。
豪華なシャンデリアの登場とともに、テーマ曲“Overture”が流れた瞬間、感動で無意識に涙がこぼれていた。多少値は張ったが、オーケストラが見える最前席を買って良かった…本場ブロードウェイで“オペラ座の怪人”を観たい、と長らく憧れていたのだ。劇団四季のミュージカルやジェラルド・バトラー主演の映画を何度も観て、やっとここにたどり着いた、そんな万感の思いだった。これぞまさにエンターテイメント、と特に感激したのが仮面舞踏会のシーン。大勢のキャストの衣装デザインがそれぞれ違い、まるで王妃マリー・アントワネットが何十人もいるような煌びやかさだった。後にロンドンでも鑑賞したが、個人的にはブロードウェイが一番!
しかし、当日にパッとチケット売り場へ行き良い席が取れたのはクリスマスど真ん中だったから。当時は欧米のクリスマス事情を知らず、どこも賑わって大変だろうと身構えていたのだが、蓋を開ければ行きたかった店や施設が営業していないケースも多々あり、飲食物すら購入し損ねてひもじい思いをした。 ただ、それを除けばロックフェラーセンター前のクリスマスツリーもエンパイア・ステートビルからのロマンチックな夜景も並ばず見られたので逆に幸運だった。
また、キアヌ・リーブスとアル・パチーノ出演の“ディアボロス/悪魔の扉”やトム・クルーズ主演“バニラ・スカイ”と大好きな映画のロケ地、タイムズスクエアも人でごった返しではなく、存分に景色を味わえた。観光名所の定番でも、思い入れがあると感慨深いものだ。
ずっと夢に見ていた割には無計画に行ってしまったが、結果オーライ。ちなみに、ニューヨークの緯度は北海道より少し下で冬が寒いのは当たり前だと、帰国してから気づいたのだった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。