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コラム

ピアノの道
vol.44 水の様に共演

2020-11-06

 自分の力ではどうしようもできない事って一杯あります。天災。人の縁。一市民が社会に対して持ちえる影響力。与えられた時間。過去。将来の不透明性。

 ピアニストとして活動していても、どうしようもない事って沢山あります。一度招かれた豪邸で演奏の最中に、ペダルがポロリと折れた事がありました。物凄く錆びていたのです。ホールの残響がワンワンと鳴って自分の音が聞こえなくなってしまう時も、逆に防音室の様に全く余韻が無く、音が吸われてしまってブラックホールの中で叫んでいるような気持がするときもあります。ホールもピアノもピアニストにはどうしようもできない。でもそれに対して笑うか、怒るか、あるいは冷静沈着に自分の音楽に没頭するかという選択は自分次第です。

 私は、ホールもピアノも「共演者」と考えるようにしています。どんな共演者が来るか分からない。でも共演者とはいつも共感します。共感しなければよい演奏ができないからです。共演者が気難しい人だったとしても、技術的に限界があったとしても、時には駄々をこねたり無理難題を言ってきたりしても、とりあえずは私の最優先事項はその状況下で可能な限り良い音楽を奏でることです。その為には、相手の気持ちに寄り添って相手の音楽を理解しようと耳を澄ませます。そして水の様に相手を包み込み、相手に反応して共演しようとします。ダンスを踊るようなものです。

 抗うこともできる。自分を主張して自分のペースに巻き込もうとすることもできます。でも、相手と状況を甘受し、水の様に相手の形を映し出し、相手を包み込み、相手を透かして見せ、そして相手に光を添えることもできる。そしてそれは決して水としての自分の性質を妥協しているわけではない。

 時には水である事を選択する事も必要だ。運命に対して。状況に対して。時代に対して。風潮に対して。それは最終的に自分や仲間の保身に繋がる強さなのだ、と最近思います。人生にも人間関係にも世界状況にも、いつも困難は山積みです。でも特に今困難が目前に迫っている感が強い今日この頃。私の音楽哲学が皆さんの生活の知恵に少しでもご参考になれば幸いと思って書きました。

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべっていた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳のボリボリビア演奏旅行を皮切りに国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽活動を目標に、2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェローとして活動。音楽のヒーリングについて、脳神経科学者との共同研究や、講義もする。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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