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コラム

ピアノの道
vol.34 音楽が育む共感の勇気

2020-06-03

 練習中に涙が出ることが在ります。ショパンの前奏曲を練習していた時は、ショパンの心情が闘病中の友人への想いと重なって、部屋の隅っこに行っておいおいと手放しで泣きました。

 人に自分を重ね合わせる。人の苦しみや幸せを自分のものと感じる—この共感力はどこから来るのでしょうか?一つにはミラーニューロンという神経細胞の作用が在ることが最近研究されています。例えば私があなたの喋る姿を見ると、私の脳はあたかも私自身が同じ言葉を同時に発しているかの様な動きをします。それで私はあなたが何を言っているのかより良く理解するだけでなく、なぜ・どういう感情を持って言っているのかに共感できるのです。これを即するのがミラーニューロンです。音楽とミラーニューロンの関係についての研究が盛んに行われていますが、音楽がこの共感の神経細胞を活性化する事は確かです。

 楽しい人に共感するのは良い物です。でも苦しんでいる人に共感するのには勇気がいります。苦しみを目の当たりにした時、私たちには「見なかったことにする」という選択肢もあります。でもこれは長期的にはサステイナブルではありません。私たちはいつかは自分にも苦しみが訪れることを知っているからです。目前にいる人の苦しみを無視すると(自分が苦しんでいる時にも無視される)という恐怖心を抱え込むことになります。でも自分の隣人の苦しみを少しでも解消するお手伝いができたら、それは自信と人類愛に繋がります。

 「なぜ人は悲しい音楽を聴きたがるの?」…数年前に8歳の生徒に聞かれてからずっと自問しているテーマです。デモが暴動化し門限が発令される中、今の私は悲しい音楽を通じて人間は苦しみに共感する練習をしているのではないかと思っています。私たちは時空を共有する運命共同体です。Covid-19、経済的圧迫、そして社会不正...。挑戦が山積みになる今だからこそ、一緒に力を合わせてどうすればお互い共感し合って喜びを倍増し苦しみを半減できる社会を創り上げられるのか、社会構造からの見直しを迫られている時だと思います。自分の家族・人種・国が良ければ良いという時代では、もう無いのではないでしょうか?私は音楽家の共感力と癒しを発信し続けます。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。
https://musicalmakiko.com/en/?p=1814


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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