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コラム

ピアノの道
vol.31  味わう音楽

2020-04-16

 皆さん、いかがお過ごしですか?将来の予測というのは常につかないものなのですが、COVID-19の非常事態でますます不透明の要素が多くなっています。音楽の治癒効果を謳っている私として、今できることは何か…考えた末「Savoring Music(味わう音楽)」というYouTubeシリーズを始めました。

 Savorという動詞は「味わう」とか「賞味する」などの言葉が相応しいと思いますが、意訳としては「愛でる」とか「慈しむ」なども私にはしっくりときます。今体験していることの感覚や面白味や意味をじっくりと吟味するということですよね。この「味わう」という行為を幸福に必須と主張するのがイェール大学の一番人気のオンラインクラス「幸せの認知心理学」を教えているローリー・サントス教授です。味わっている時は、その瞬間に集中できる。そして人生状況がどうであれ、生きていることの喜びに感謝するきっかけになる。(ちなみにこのコース、COVID-19の非常事態中は無料で提供されているんです!大変お勧めです。)

 「味わう音楽」は音楽を愛でる行為を通じて五感や想像力を開拓してもらおう、というシリーズです。「呼吸を味わう」で、音楽に合わせてゆっくり規則正しい呼吸に意識する事から始めますが、味わう領域をどんどん広げていきます。例えば音波を肌で感じてみるとか、音を味覚に例えてみる、など。私は良く早いパッセージをあられに例えて考えています。粒がそろったカリカリのあられって食べるのが楽しいですよね。このパッセージは小さい球体のあられかな?硬さは?食感は?ペダルを使う時はおかゆです。ペダルを少なくしてそれぞれの音の発音をはっきりさせると雑炊に近い米粒が感じられるおかゆになります。逆に音一つ一つのアタックをほとんど無くして、ペダルを深く踏んで和音を鳴らすように弾くと、重湯になります。

 こんな非常時だからこそ一瞬の喜びを、美を、愛でる。そして分かち合う。それが音楽家、そして表現者としての私の使命だと思っています。

 「Savoring Music(味わう音楽)」シリーズ①「呼吸を味わう」はこちらでご覧いただけます。
 https://www.youtube.com/watch?v=d0Xor0LyGWA

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。
https://musicalmakiko.com/en/nikkan-san-the-way-of-the-pianist/1577


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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