来夏の映画観ようよ♪
vol.48 アイリッシュマン
2019-12-19
昨今、映画館にもレンタルビデオ店にも足を運ばなくなったという声をよく耳にする。インターネットを繋げば自宅や旅先、好きな場所で気軽に映画を観られる時代になった。今回は、そんな動画配信サービスのひとつ、Netflix制作の映画をご紹介。
トラック運転手だったフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は、ふとした偶然から大物マフィアのラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)に気に入られ、彼の仕事の手伝い−殺しをすることになる。さらに、ラッセルから全米トラック運転組合のトップであり、当時ケネディ大統領に次ぐ人気を誇るとも言われたジミー・ホッファを紹介され、その右腕として親交を深めて行くのだが...。
普通の青年がマフィアと携わるようになり、そしてある秘密を抱えたまま生涯を終えようとするまでの半生が綿密に描かれているので、210分という長さも気にならない、というよりもっと観ていたいとすら思えた。フランクは家族を愛し必死で守ろうとする一方、もうひとつの"組織"というファミリー内での絆と策略に翻弄されながらも、粛々と仕事をこなしていく。遂には長年の功績から金や地位を手にするが、結局周りには愛する者も信頼出来る仲間も残らず孤独が待っているだけという悲哀。マフィア映画の真骨頂ともいうべきか、あらゆる要素が丁寧に盛り込まれた良作!また、"ゴッドファーザー"や"カリートの道"、"フェイク(Donnie Brasco)"等、数々の名作マフィア映画に出演しているアル・パチーノも魅力的で、やはりそうくるか!という役どころにもグッとくる。なお、劇中ではデ・ニーロもアル・パチーノも最新のCG技術により自然に若返っており、現在の姿と比較すると本当に驚かされる。と同時に、素敵な歳の重ね方をしたなぁと思いながら。
2020年アカデミー賞作品賞ノミネートには、誰もが納得だろう。映画をいつどのように観るか、という選択肢が広がり、その恩恵を受けられて幸せだ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。