編集部
プロボクサー 樋髙リオ 日本人初の世界ヘビー級チャンピオン目指す!!
2019-11-23
日本人初の世界ヘビー級チャンピオンを目指すボクサーが、ロサンゼルスにいる。大阪出身のWBCアジアヘビー級チャンピオンの樋髙リオだ。怪我による長期戦線離脱を乗り越え、まだ日本人が行ったことがない頂点を目指し、ロサンゼルスで挑戦を再開した。
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この日、樋髙リオがトレーニングしていたのは、ダウンタウン・ロサンゼルスにあるCity of Angeles Boxing。ジムの外壁一面には、ボクシング界のレジェンド、元世界チャンピオンのマイク・タイソンやフロイド・パターソンの絵が描かれている。
樋髙は2015年にアジアのヘビー級チャンピオンの座を獲得し、翌年にボクシングの本場アメリカで世界チャンピオンを獲るために、ロサンゼルスに拠点を移した。
体格差が勝敗を大きく左右するヘビー級では、欧米人に比べて体格が劣るアジア人選手は少ない。未だ日本人選手がヘビー級でタイトルを獲ったことはない。
「目標は日本人初の世界ヘビー級チャンピオンです。不可能はない。日本人は絶対に出来るという想いでやっています」と樋髙は話す。
前人未踏の夢に挑戦する樋髙だが、怪我に苦しみ、引退を考えた時期もあった。膝の故障は普通に歩くこともできず、しゃがむこともできず、日常生活にも支障が出たほどだった。
「当時は、応援していただいている方々に申し訳ないという気持ちしかありませんでした」
樋髙のもう一つの夢ー「夢を実現させた喜びをチームやサポーターたちと分かち合いたい、恩返しをしたい」ーをもう叶えられないかもしれないと激しく落ち込んでしまった。
しかし、「諦めるのはまだ早い!」と自分を奮い立たせ、信頼する治療家の元に通い始めた。焦る気持ちを抑えながら治療に専念し、遂に次の試合を目指すまでに復活した。
闘いたいのに試合が決まらない
試合の日程について樋髙に尋ねると、「試合をしたいけれど、まだ対戦相手が見つかりません」と答えが返ってきた。
去年は試合が決まりかけたが、対戦相手によるキャンセルが続き、結局一試合もできずに終わってしまった。今年こそはと思い、トレーニングを続けてきたが、今年もあと1ヶ月で終わる。
試合ができなければ、世界チャンピオンへの一歩さえ踏み出すこともできない。何も決まらない、いつ決まるのかさえも分からない状況の中で、樋髙は精神的にも経済的にもキツイ日々を過ごしている。
なぜ、樋髙の試合は決まらないのか?
アメリカを拠点に、世界チャンピオンをはじめとする多くのプロボクサーの面倒を見てきたボクシング関係者は、主な理由として樋髙がアメリカでは無名に等しく、興行チケットの売上が見込めない可能性があるからだろうと話す。
多額の資金を使い興行をするプロモーターの視点からすれば、ある程度、知名度があるボクサーならば観客で会場が埋まるが、無名、または知名度の低いボクサーを起用した場合はビジネスリスクが高くなるので慎重になる。
もう一つの理由は、樋髙の戦績が良いから対戦相手が敬遠するのだろうと関係者(前出)は話す。
最近のアメリカでは、大手プロモーターは興行だけでなくボクサーと契約し、その所属ボクサーの対戦選手を見つけて試合を組むケースが多いという。
観客が「良い試合だった!」と盛り上がる興行をするのはもちろんだが、所属ボクサーが最初から負けると分かる試合や負傷する可能性が高い試合は組まない。戦績が良いボクサーや、過去の試合で相手を再起不能にしたことのあるボクサーなどは敬遠されがちだ。
勝って観客を魅了する
ボクシングには、対戦相手を指名する側と指名を受ける側がある。指名する側は様々な面で有利だ。
映画『ロッキー』を覚えているだろうか?
シルベスター・スタローン扮する無名ボクサー、ロッキーは、世界ヘビー級チャンピオンのアポロからタイトルマッチの対戦相手に指名される。アメリカン・ドリームを実現する絶好のチャンスだが、ロッキーは実力の差がありすぎだと、最初、指名を断る。試合が始まると不利だったロッキーが予想外に大健闘して観客は大歓喜。場内はロッキーコールに包まれる。
今の樋髙は指名を受ける側であり、挑戦者だ。しかし、内容の良い試合をして勝利すれば、この立場はひっくり返る。状況は一変する。これがボクシングの世界。
樋髙はインファイト(近距離から打撃)とアウトボクシング(足を使いスピードがある、テクニックを駆使し相手に打たせず攻撃)の両方のファイティング・スタイルを兼ね備えている。
特にカリフォルニア州とメキシコの観客の多くは、インファイトのファイティング・スタイルが好きだ。だから、一度、樋髙の試合を観さえすれば魅了されるだろう。
この1年間に全てを掛ける
樋髙は現在38歳。最近では世界チャンピオンに40代のボクサーがいるのも普通になってきたが、30代のうちに王座獲得を決意した。
「これからの1年間、全てをボクシングに掛けて挑みます」
試合が決まらないからといって立ち止まっているわけにはいかない。そこで樋髙は、9月に初めてクラウドファンディングを活用して、活動支援金を募った。
「本当に有り難いことに、お声がけさせていただいた方々や企業様からご支援をいただくことができました。この度のクラウドファンディングは終了しましたが、まだ活動資金のご支援をお願いしています」
目標達成のために、フィジカルをキープし、モチベーションをキープし、そして生活をキープすることは並大抵のことではできない。ましてや目指すは世界王者だ。24時間/7日間をボクシングに捧げることは「最低条件」とも言える。
アメリカの厳しい状況にもへこたれず、樋髙を駆り立てるものは、一体、何なのか?
「私はアジアで終わる選手じゃないと思っています。もっと強い相手と試合をして勝って、もっと先に行けると思っています。
何より応援してくださる方々や、これまで応援してくださった方々に恩返しがしたいです」
夢を実現しようと日々トレーニングに励む樋髙の元に「俺もがんばる」「私も諦めない」「パワーをもらっています」というメッセージが届くようになった。
樋髙の活動費の一部をサポートしている株式会社モリテック代表取締役社長の森田彰宏さんも「がんばってください。遠くから応援します!!モリテックも負けぬようにがんばります!」と声援を送り、樋髙の頑張りが人々を刺激し、ある時は励ましている。
樋髙は「今の日本の若者には夢がないと聞くので、夢を持つことの素晴らしさや大切さを、私の活動を通して伝えたいです。日本を明るく元気にしたい!!
日本からアメリカに来る日本人のためにもアメリカの日系社会をさらに盛り上げたいです」と、新たな夢について話す。
地元の応援が試合を決める
プロボクサーにとって、試合の日程が入らないのは死活問題だ。樋髙の試合開催を決める手段は、何かないのか?
ボクシング関係者(前出)が答えをくれた。
「一番の決め手がありますよ。地元コミュニティの皆さんからの応援です。『樋髙の試合を観に行くよ!』 『リングの上で闘う樋髙を、会場で応援するよ!』という皆さんの応援が、試合を実現させます」
世界王座はボクサー独りでは届かない。ロサンゼルスで日本人初の世界ヘビー級チャンピオンを目指す樋髙リオ。彼の試合に足を運ぶ一人一人が、王者誕生の力になる。
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樋髙リオからのメッセージ
日本人初世界へビー級チャンピオンという目標達成、日本を元気にする夢を叶えるために、皆様より支援金をいただき、ありがとうございます。さらに練習に集中して試合に向かって準備したいと思っています。現在、協賛・スポンサー支援について皆様のさらなるお力添えをいただけますようお願いしています。どうか私の目標そして夢に、私と一緒に闘ってください。力をお貸しください。宜しくお願い致します。
不撓不屈 樋髙リオ
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=Tomomi Kanemaru / Hirokazu Rio Kato
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

