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コラム

ピアノの道
Vol.20 『幸せの国』ブータン

2019-11-06

 南アジアのチベット仏教国、ブータン王国に行って参りました。他国が気にするGNP(Gross National Products 国民総生産)に対して、GNH(Gross National Happiness 国民総幸福量)を政策の指針としているブータンに昔から興味があったのです。聴衆に寄り添った、社会に関連性のある音楽活動をしたい、そのために世界と自分をよりよく知りたいという思いで、US-ジャパン・リーダーシップ・プログラム関連のお誘いを受けて、飛びつきました。
 
 個人の幸福が総括して社会の良好につながるという信念のもと、ブータン政府はGNHの4つの支柱として①サステイナブルで平等な社会経済発展、②環境保護、③伝統文化継承と文化推奨、④善い統治を挙げています。幸福に於ける文化の重要視は素晴らしいけれど、伝統文化が西洋文化に浸食されている傾向は否めません。例えば近年、ブータンの小学校に音楽や図工などのカリキュラムが取り入れられ始めていますが、西洋音楽では記譜法など、簡潔な伝承システムが確立しているので、口伝えの伝統音楽より教えやすいのです。更に、メディアでの西洋文化浸透は圧倒的です。私たちのガイドさんは伝統音楽の歌い手としてCDも出していましたが、若い人の伝統文化離れを私に打ち明けてくれました。
 
 国営病院も訪問しました。私たちが日本やアメリカで慣れている病院に比べて設備が満足とはいえない中、でも全員が甲斐甲斐しくベストを尽くし、近所に住む患者さんのご家族が、遠方から来て泊まり込みの患者さんやご家族のために炊き出しを行っているのが印象的でした。病院には3人のお坊さんがスタッフとしていらして、患者さんだけでなく介護者やスタッフの精神管理をも受け持っていらっしゃいました。宗教儀式を行えるスペースもありました。ブータンにご一緒した緩和医療のお医者様が、河合隼雄を引用して「我々はhuman doingじゃなくてhuman beingなんだ。居るだけで良い。寄り添うことが大事。」とおっしゃったのが胸に響きました。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。
https://musicalmakiko.com/en/nikkan-san-the-way-of-the-pianist/1271


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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