旅は呼んでいる。
vol35. 地中海クルーズ①
2019-08-22
輝くシャンデリアや客室を彩る金の装飾、一流レストランと遜色ない食事、そして華やかなドレスを纏った女性達…20世紀初頭に沈没した豪華客船がテーマの映画“タイタニック”を観た当時、ロマンチックな恋物語もさることながら、いつかあの夢のような空間が広がる船の旅を体験してみたいと思った。
Amazing!!ー全長約333m、高さ67mのMSC社ファンタジア号はまさに威風堂々。内部は映画セットと見間違うほどで、スワロフスキー・クリスタルが敷き詰められた階段や、趣の異なるいくつもの洒落たバーラウンジ、最上階のデッキには開放的なプール…憧れの初クルーズはイタリア・ミラノから始まり、火山噴火で埋もれた街ポンペイ、シチリア島、マルタ島、マヨルカ島、バルセロナ、マルセイユを8日間かけて周る旅程だったが、乗船した時点で既に大満足。ディナーのドレスコードは海外勢に負けないよう少し背伸びをした。
7都市を巡る中で最も楽しみにしていたのが先述のポンペイ。火砕流により亡くなった方達の空洞部分に石膏を流し込んで再現された姿には言葉を失ったが、火山灰のおかげで娼館や闘技場、浴場、神殿などかつて栄えた都市の姿を容易に想像が出来るほど保存状態が良く見応えがあった。
なお、寄港地での過ごし方はご自由にどうぞ、というスタイルなので下船せずにのんびりと食事や日光浴をする人、オプショナルツアーに参加する人などそれぞれで、シチリア島では車を借りて映画“グラン・ブルー”の撮影地タオルミーナという街の海へ。期待通りの透明度で劇中のように泳ぎたかったのだが、クラゲの大量発生で断念。また、街中に飾られていた不思議な造形のトリナクリアというお守りのようなものが印象深くお土産に購入した。
クルーズでの移動時間、暇を持て余してしまうのではという不安は杞憂に終わった。“タイタニック”の舳先で主人公ローズが両手を広げる有名なシーンを真似する暇もないほど、船内は様々な楽しみで溢れていたのだ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

