来夏の映画観ようよ♪
vol.39 チャイルド・プレイ
2019-07-19
これまでの人生で唯一、あまりの内容に嘔吐しかけた作品がある。“悪魔のいけにえ(The Texas Chain Saw
Massacre)”だ。授業が終わると真っ直ぐ帰宅をして、借りた映画を楽しみにしていた学生時代。カレーライスを食べながら視聴したのを鮮明に覚えている。
Amazonが開発したAlexaやApple製品で使われているSiriなど人工知能のアシスタント機能が一般的になった現代。とある大手IT企業カスラン社では、そんなA.I.を応用、搭載した子供向けのおもちゃ『バディ人形』を広く販売していた。しかし、生産工場で日々の鬱憤を溜めた技術者が、本来人間を保護するための安全なプログラミングをわざと外してしまったチップを付けた一体の人形を出荷してしまう。誕生日プレゼントに、と偶然それを手に入れた母親と受け取った息子に想像を絶する悲劇が訪れ―。
うわぁ、やってしまったな…鑑賞中に思わず漏れた言葉だ。悪趣味、陰湿、凄惨の見事な三拍子(あくまで褒め言葉)!同時期に同じような人形ホラー“アナベル死霊博物館(Annabelle Comes Home)”も観たが、その比ではない。骨董品のアナベルが心理的にジワジワと恐怖を煽ってくるのに対し、この科学技術最先端のチャッキーは物理的に人を襲ってくる。純真無垢の状態から人間の生活に寄り添い共に生活し、人工知能ならではの素晴らしい学習能力で悪口やブラックジョークすら額面通りに受け取り、人を傷つけることを『悪』と認識出来ずに成長していくのだ…オリジナル版のチャッキーの人間臭さや見た目の愛くるしさは、もはやゼロと言っていい。我々が今作で目にするのは、これから訪れるべく未来の、想定外の悪夢そのものだ。
怖いモノが見たいという期待を裏切る事はまずないと思うが、冒頭の“悪魔のいけにえ”同様、鑑賞前の食事はおすすめしない。年齢制限も納得のエグさなので大人ですらポップコーンをすくう手が止まるかも。くれぐれも自己責任で!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

