編集部
初代 川柳 生誕３００年記念 ④ 十六代宗匠 尾藤川柳が初来羅!!
2019-04-30
５月１８日、「十六代 尾藤川柳氏を囲むゆうべ」（パイオニア川柳吟社後援）がトーレンス市で開催される。
川柳嗣号者がアメリカで講演するのは、川柳史上、今回が初めてのこと。
講演会に先駆けて、十六代川柳氏に川柳の魅力について聞いた。
ー幼少期の体験から「川柳とは怖く、嫌なもの」と思ってしまいましたが、川柳を好きになったきっかけがあったそうですね。
私が川柳の凄さ、奥深さを知ったのは、大学生の時です。
吟行会で鎌倉を歩きました。歩きながら感じたことを川柳にするのですが、長谷観音に当時３０００体を超える水子地蔵が建てられていました。同じ形の小さなお地蔵さまが、長谷観音境内の崖に整然と並んでいます。
一体ずつピンク色の風車が供えられていて、海風を受けるとカラカラカラとにぎやかに回っていました。
私はこれを見て、崖の向かいに広がる鎌倉の海の先が東京だなという地理的関係を知っていましたので、
東京を凝視めたままの水子達
という見たままのスケッチ句を作って出しました。
この日は、一句も入選せず「全没だなあ」と思いながら、最後の特選句の披講を聞いていました。
この時、選者先生は、「今日集まった句の中で、単に風景を読んだだけでない素晴らしい句が一句だけあった。この句には、簡単に子供が作られ、また育てられずに水子を生んでしまう東京という大都会の闇が描かれている。社会風刺としてもしっかりした目を持った作品だ…」などと最大限の賛辞の評を与えたのち、いざ読まれたのが、私の句でした。
私はただ水子地蔵のスケッチとして作っただけでしたが、選者によって深く社会との関連が導かれ、作品を大きなものにしてくれました。
ビックリするとともに、川柳という存在は、わずか十七音でありながら、こんなにも深い世界が描けることを知ったのでした。
これ以降、川柳が好きになった契機です。
十六代目 櫻木庵 尾藤川柳 氏 略歴
祖父、父ともに川柳家。１５歳より川柳を始め、昭和56（１９８１年）に十五代目・脇屋川柳氏に師事。平成29（２０１７年）に十六代目川柳を襲名。川柳を学問としても伝える。川柳学会を創設。朱雀洞文庫を創設。川柳講座、著述、公募川柳の選者等、幅広く活躍中。著書多数。
十六代 尾藤川柳氏を囲むゆうべ
◆柳話：川柳の楽しみと文化・北斎170年／川柳とは（発祥と文芸理念、「川柳260年」）／初代川柳と川柳の三恩人について／葛飾北斎と川柳（北斎の目は川柳で研ぎ澄まされた）／アメリカの川柳（日本での照会映像）／川柳の楽しみ（生きた川柳のために）
◆お題：「つなぐ」（興味がある人は三句作って持参。持参しなくても参加可能）
◆日時：5月18日（土）5pm～7pm
◆参加費： $10
◆会場： Redac Gateway Hotel, Torrance
20801 S. Western Ave., Torrance, CA 90501
◆お申込＆お問合せ先：
310-257-9440(石口）310-828-4734(宇都）
◆十六代川柳氏ウェブサイト：ドクター川柳
www.doctor-senryu.com
◆フェイスブック：
＠senryu.bitoh
（つづく）
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
日刊サン編集部
