編集部
初代 川柳 生誕300年記念 ③ 十六代宗匠 尾藤川柳が初来羅!!
2019-04-27
5月18日、「十六代 尾藤川柳氏を囲むゆうべ」(パイオニア川柳吟社後援)がトーレンス市で開催される。
川柳嗣号者がアメリカで講演するのは、川柳史上、今回が初めてのこと。
講演会に先駆けて、十六代川柳氏に初めての川柳について聞いた。
ー幼少期の川柳作りについてのエピソードは。
尾藤川柳氏の父・尾藤三柳氏 川柳家、川柳公論社創設者
もっとも小さい頃の思い出は、まだ小学校に入る前のこと。
上野公園の噴水の脇で、いきなり父が、「川柳を作ってみろ…」と言いだしました。
川柳の「せ」の字も知らない子供にとって、もじもじするばかりです。黙っていると父から怒られました。
「おい、まず五音の言葉を何でもいいから言ってみろ」と迫ってきます。
仕方なく眼の前の噴水から「ふんすいは」と言いました。すると「次は、それにつづけて七音の言葉を付けてみよ」と言います。
訳が分からないまま、スプレイ状に吹き上がった噴水を見ていて「きりのなかから」と言いました。「よし。最後に五音の言葉でまとめてみよ」と迫ってきます。
「まとめろ」といって、就学前の子供に何ができるでしょう。判らないまま黙ってしまうと、いよいよ父の目が怖くなります。「おい、どうした」と何度も言われているうちに、日が暮れかけて周囲が暗くなってくるではないですか。いよいよ怖くなってしまいました。「さっさと五音の言葉を言ってみろ」という父の言葉があった時、噴水の一番高く吹き上がる中心の水柱の大きな噴出音が聞こえました。とっさに「水の音」と言ってみました。
噴水は霧の中から水の音
これが、最初に作った五七五です。この一件で、川柳とは怖く、嫌なものだということが潜在意識に刻まれてしまいました。
蛇足ですが、下五を「水の声」とすれば、5歳の川柳として、ちっとは誇れたのですが…。
十六代目 櫻木庵 尾藤川柳 氏 略歴
祖父、父ともに川柳家。15歳より川柳を始め、昭和56(1981年)に十五代目・脇屋川柳氏に師事。平成29(2017年)に十六代目川柳を襲名。川柳を学問としても伝える。川柳学会を創設。朱雀洞文庫を創設。川柳講座、著述、公募川柳の選者等、幅広く活躍中。著書多数。
十六代 尾藤川柳氏を囲むゆうべ
◆柳話:川柳の楽しみと文化・北斎170年/川柳とは(発祥と文芸理念、「川柳260年」)/初代川柳と川柳の三恩人について/葛飾北斎と川柳(北斎の目は川柳で研ぎ澄まされた)/アメリカの川柳(日本での照会映像)/川柳の楽しみ(生きた川柳のために)
◆お題:「つなぐ」(興味がある人は三句作って持参。持参しなくても参加可能)
◆日時:5月18日(土)5pm~7pm
◆参加費: $10
◆会場: Redac Gateway Hotel, Torrance
20801 S. Western Ave., Torrance, CA 90501
◆お申込&お問合せ先:
310-257-9440(石口)310-828-4734(宇都)
◆十六代川柳氏ウェブサイト:ドクター川柳
www.doctor-senryu.com
◆フェイスブック:
@senryu.bitoh
(つづく)
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

