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コラム

来夏の映画観ようよ♪
vol.34 ペットセマタリー

2019-04-18


 スティーヴン・キングが好きだ。“ホラーの帝王”と呼ばれているが、ケネディ暗殺を食い止めようとタイムトラベルを重ねる『11/22/63』や、成績優秀の少年がナチスに魅せられ破滅へ向かっていく『ゴールデンボーイ』など史実を絡めた小説もあり、ホラーの枠に囚われない幅広い作風が魅力的。中でも、トラウマになるほど後味が悪く、しかし同時に命や家族愛について考えさせられる不思議な作品がこの『ペットセマタリー』である。

 妻と二人の子ども達と共に、メイン州の田舎町へと引っ越してきた学校医のルイス。長女エリーと妻のレイチェルは新居の周りを散策している途中、犬や猫などペットのための墓地を見つける。平穏な日々が続いていたが、ハロウィンの日にエリーが可愛がっていた猫のチャーチがトラックに轢かれて死んでしまう。娘が悲しむだろうと、その死を伝える事に葛藤しながらルイスは猫を埋葬するために例の墓地へ向かうが、隣家に住む老人ジャドが墓地のさらに奥へと案内し「ここに埋めなさい」と言う。すると翌日、なんと死んだはずの愛猫チャーチが家に戻っていて・・・。

 1989年公開版のリメイクだが、内容も結末も異なるので別物として楽しめる。ホラー描写はややマイルドになっているものの、随所に漂う“イヤな予感”が最後まで持続していて秀逸!劇中に登場した食事運搬用のリフトは、この先の人生でもし目にする機会があれば絶対に近づきたくない、と新たなトラウマを植えつけられてしまった。なお、“ウェンディゴ”とは一体何なのか、なぜ墓地があんな力を持つのか、気になった方は小説に詳しい説明が書かれているのでぜひ。

 先代のペットが亡くなり火葬場に連れて行った際、ふとペットセマタリーが頭をよぎった。しかし、ジャド曰く「死んでいた方がいいこともある」のである。生きている者はいつか必ず死ぬし、その悲しみを乗り越えなくてはいけない。本作には、そんな裏返しのメッセージが込められているのではと思ったのだった。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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加西来夏

職業:旅する映画ラヴァー。映画の聖地であり、年中カラっとした最高の気候…世界中を旅しているけど、やっぱりL.A.が大好きです。年間視聴映画100本以上、訪問39ヵ国~。好きな言葉は“世界は驚きと奇跡に満ちている”。ご意見はkasai.laika@gmail.comまで




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