JERCの教育相談Q&A
vol.16&17 『ものの考え方』を学ぶ 現地校の子どもたち ― Critical Thinking ―
2018-11-01
アメリカの教育方法で特徴的なのが、子ども達にものの考え方をプロセスで教えていく「Critical Thinking」を取り入れた教育です。キンダーから12年生まで、教師は教科を指導する中で常に生徒に“Question” していきます。
『Why do you feel that way ?』(どうしてそう思うの?)
『Why do you think that ? 』(どうしてそう考えるの?)
『Can you tell us more about that ? 』(あなたの答えの説明してくれる?)
また「AとBの違いは何ですか?」、「AとBの共通点は何だと思う?」などの疑問を投げかけて、生徒が考えるように指導していきます。
ただ知識を与えるだけの教育ではなく、幼少期よりものの考え方を指導し自分の考えや意見を持たせ、発言できるように教育します。高学年になると、自分の考えを書かせるトレーニングに入ります。
またキンダーより、自分が大切にしている物や大切にしている物をクラスメートの前で説明するー「Shaw and Tell」や、新聞の中からニュースをピックアップして、皆の前で発表するという授業をしながら、自己を確立していくように指導します。
アメリカの高校では、社会の時間に“疑似裁判”を体験させることがあります。生徒が裁判官、検事、弁護士、そして原告と被告になり、それぞれの立場で意見を戦わせます。また4年に1度実施される大統領選挙。その年にはどの候補を支援するか、なぜその人が大統領として相応しいと思うのか等々、クラスの中で激論を戦わせるのです。
世界で大きな出来事が起こった際には授業で取り上げ、生徒と話し合います。「あなただったらどうしますか?」、「どのような意見を持っていますか?」と質問しながら、各生徒に問題意識を持たせていきます。
アメリカの教育は民主主義を守るため、よき市民を育てるための教育です。すなわち「国家の主権は人民にあるとする思想に基づき、政治の上で、国民の思想を尊重する主義である」とあるように、この民主主義を貫くため、国民一人一人がしっかりと自分の意思を明確にし、発言できるよう「Critical Thinking」を取り入れた教育が実施されているのです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。