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キム・ホンソンの三味一体
vol.111 海のような存在（？）

2019-02-21

　先日仕事帰りにふらっとビーチに行きました。一つ決断しないといけないこともあって気持ちを整理するつもりでビーチを散歩していました。すると、アジア系のあるご高齢の女性の方が、波に靴がぬれそうなほど海の近くに立って、遠くの水平線を眺めながら泣いているようでした。きっと何か悲しいことがあって心を癒していたのでしょう。白髪まじりの髪を風になびかせながら一人静かに海の前に立つ彼女をみて、ふとなぜ人は悲しい時海を見にくるのだろうかと思いました。それは太古からあって変わることのない何か大きな自然の前に立っていると自分の悩みや悲しみなど小さく思えるからなのかもしれません。

　実は先週の日曜日、私の教会での礼拝の中で、とても変わった聖書の箇所から皆さんにお話しをしました。ある日、イエスと弟子達が山からおりて来ると、全国から集って来た大勢の群衆がイエスの話しを聞こうと待っていました。そこでイエスはいきなりこう切り出します。「貧しい人々は、幸いである、神の国はあなたがたのものである。今飢えている人々は、幸いである、あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる．．．」　

　イエスは不幸な人達のことをなぜ幸いだと言ったのでしょうか。実はそこに集って来た人々はみな貧しく、飢えることも多く、神に祝福されない人々だと蔑まれ社会の隅に追いやられていた人々でした。彼らは誰一人として取り合ってくれない自分たちの痛みと悲しみに涙しながら、藁をも掴む思いで最後の望みをかけイエスのところに行ったのです。その人々に対して、イエスはこう語りました。「人生の痛みと悲しみを抱えて泣いているあなた方は幸いだ。その悲しみがあったからこそ、こうして私を求めて私のところに来ることが出来たのではないか。私があなた方に慰めを与え、あなた方の重荷を代わりに負い、あなた方を救う。神の国はあなた方のものだ。」

　心の癒しを求めて海に来て涙しながら立っていた女性を見て、ふとイエスキリストは海のようだと思いました。善人も悪人も相手が誰であるかに係わらず全ての人々を受け入れ癒し慰め再び家に帰れる元気をくれる海のような存在です。

　毎週日曜日の午後2時、癒しと慰めの一時があります。クリスチャンでも他宗教の方や無宗教の方でも大いに歓迎いたします。

「聖霊の実ルーテル教会」
2706 W 182nd St. Torrance, CA 90504
Khs1126@gmail.com (310) 339-9635

※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。