来夏の映画観ようよ♪
vol.30 特捜部Q 檻の中の女
2019-02-14
数年前、祖父が近場の親戚に顔を出してくると言って車で出かけたきり、帰宅しなかった。連絡もつかず、その親戚に尋ねると来ていない、とのことだったので即座に警察に届け出をした。
殺人課の刑事カール・マークは、現場での判断ミスにより部下を殉職させてしまい、自身も怪我を負い休養していた。復職後、課長から新設部署である“特捜部Q”への転属を命じられるものの、それは『過去二十年間の未解決事件の書類整理をするだけ』という内容で事実上窓際に追いやられた形であったのだが…新たな相棒のアサドと共に五年前に起きた女性議員失踪事件について粘り強く再調査を続け、次々と新しい事実を掴んでいく。
劇中で最も美しく幻想的なシーンが、実は最も悲しく、また事件の発端になっている出来事だというのが斬新だった。
また、主人公のカールは無骨で頑固な性格で、いつも苦虫を噛み潰したような顔をしているのに対し、相棒のアサドは信心深く優しく、おっとりとしている。一見、全く馬が合わなさそうな二人が捜査を介して段々と信頼を深めていく様子が面白く、すっかりこのコンビのファンになってしまった。本作はデンマークが舞台のベストセラー小説の映画化である。2011年にハリウッドでリメイクされた“ドラゴン・タトゥーの女”は、元はスウェーデンの作品。北欧をひとくくりにするのはだいぶ乱暴だが、どちらも好きなテイストであるには違いなく、現在Kindleでシリーズの続編を読んでいるほどハマっている。たまに海外の映画も観てみよう、と思っている方にぜひおすすめしたい。
ちなみに、祖父の失踪事件は翌日解決した。路肩に停めてあった車中から無事発見されたのだ。しかし本人はよく理解していないようで・・・認知症の始まりだった。日本では年間8万人、アメリカでは65万人超(NCICによる2017年データ)が行方不明になっているという。犯罪絡みだけではなく様々なケースがあるのだろうが、考えさせられる統計だった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

