来夏の映画観ようよ♪
vol.24 ボヘミアン・ラプソディ
2018-11-15
ロックバンドというのは、彼らの意に反して壮絶な運命を背負ってしまうことが多々ある。有名であればあるほど、或いは、皮肉にもその不幸な出来事のせいで世間に広く知られるようになることもあるのだが。
ヒースロー空港で働くファルーク・バルサラ。後にフレディ・マーキュリーと改名する青年は、仕事の傍ら自ら作曲をし、歌うことも得意としていた。音楽への理解を示さない厳格な父と対立しながらもライブハウスへと通い、そこで”スマイル”というバンドと運命的な出会いを果たす。そこからどのようにクイーンが生まれ、成功への道を辿っていくのか、そして手にした輝かしい栄光の裏に隠されたフレディの愛と孤独、葛藤を描く。
ラスト20分、1985年7月に行われたイギリスのウェンブリースタジアムでのライヴエイドのシーン。映画内での再現だということをすっかり忘れ、まるでオーディエンスの一人になったように没入して激しい"熱”と"感動"を覚えた。『魂が震える』という形容詞があるものの気軽には使いたくないが、この時ばかりはまさにそう感じた。フレディ・マーキュリーが歌に込めた想いが、生きようとするパワーが全身から溢れ出ているようで心に突き刺さった。クイーンというバンドが21世紀に入ってもなお”偉大な、唯一無二の”と語り継がれる理由がわかった気がする。YouTubeに当時のライヴエイドの映像が上がっていたので、映画を観終えた後にそちらもぜひ視聴してみて欲しい。
クイーン世代でも特別ファンでもなかったがもちろん彼らの曲は耳にしたことがあり、中でも"Killer Queen"がお気に入りだった。映画を観て”ボヘミアンラプソディ”を含め好きな曲がたくさん増えた。たとえ二度とその生の歌声が聴けなくなったとしても、姿を目にすることが叶わなくとも、残された素晴らしい音楽は新しい世代へと確実に受け継がれていくのだー早速iTunesで"ボヘミアン・ラプソディ"のサウンドトラックをダウンロードしながら、切にそう思ったのだった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

