来夏の映画観ようよ♪
vol.22 アリー/スター誕生
2018-10-18
ミラーボールを髣髴とさせる仮面にアンドロイド・ロボットのような衣装、自分の髪でリボンを作ってしまうという奇抜なヘアスタイル…異次元の出で立ちにすっかり目が釘付けになったのを今でも鮮明に覚えている。十年前に大ヒットしたレディ・ガガの“PokerFace”のミュージック・ビデオである。
レストランでウエイトレスとして働くアリーは、いつかプロの歌手として成功したいと夢見ていた。彼女は仕事が終わった後にバーで勤めており、ある日ステージで歌っていたところを、偶然人気歌手のジャクソン・メインに才能を見出される。ジャクソンが自身のツアーでアリーを起用したことで、世間にもその歌声が認められ彼女は瞬く間に有名になっていく。一方で、アリーが自分から遠く離れていくように感じた彼は、以前から患っていたアルコール依存症に次第にむしばまれていきー。
世界的な歌姫のガガが、女優として主演に挑んだ作品。既に“シン・シティ復讐の女神”やドラマ“アメリカン・ホラー・ストーリー”でデビューを果たしておりその評価も高かったが、後者では魔女という役柄のせいか衣装やメイク、雰囲気がガガそのものに近かったように思う。本作ではいち女優として最初から最後まで自然にアリーを演じきっており、彼女がレディ・ガガであるのを忘れてしまうほどだった。歌うシーンでは、さすがの歌唱力!と鳥肌が立ったものの、必要以上にガガ色を出さず、あくまでスターを目指す女性歌手というスタンスを貫き通したのが良かった。
例えば、ジャクソンのコンサートに参加する為にプライベート・ジェットに乗り、シャンパンを開ける場面。ガガにとってはもはや珍しくも何でもない光景なのではと思うが、まるで初めてのことのようにはしゃいで喜んでいる姿には感服した。
ここ数年は『純粋に音楽を聴いて欲しい』という理由で、奇想天外なファッションを封印してきたガガ。歌唱力自体が素晴らしい事は彼女をあまりよく知らない人でも映画を観れば納得するはず!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。