来夏の映画観ようよ♪
vol.21 Searching
2018-10-04
ヨーロッパを旅行中、日本にいる家族に危うく捜索願いを出されそうになったことがある。干渉されるのが嫌いで、何も告げずふらりと旅に出たのがいけなかった。四日ほどチェックを怠っていたら、安否を気遣うメールが山のように届いていたので慌てて国際電話をかけた。
カリフォルニア州のサンノゼに暮らすデビッド・キムは、二年前に妻のパメラを癌で亡くし未だ悲しみを引きずっているものの、16歳になる愛娘マーゴットと親子二人、仲良く共に生活していた。ある日、スマートフォンでいつものように他愛ないやりとりを交わした後、突如マーゴットの消息が途絶えてしまう。弟であるピーターに連絡し、彼女の知人をたどってみるようアドバイスを受けるが行き詰まり、ついに警察に通報しヴィック捜査官から娘のSNSアカウントを利用して交友関係を探るよう指示される。しかしそこには、いつも明るかったマーゴットからは想像もつかない別の一面が垣間見えてきて…。
“パソコンのディスプレイの中だけで物語が進んでいく”という斬新な手法が取り沙汰されている作品だが、ストーリー自体がしっかり作り込まれており、サスペンス要素だけではなく、家族愛も綿密に描かれていてほろりと泣けてしまう。最後の最後まで先の展開が読めず、ハラハラしながら二転も三転もしていき、まさか!というのが何度もあって飽きない100分間。GmailやFacebookを使ったことがある人ならば誰でも共感する部分があり、また、それらの利用についていま一度考えさせられるのではないだろうか。
先日は5,000万人分のFacebookのユーザーデータが流出してしまったし、スノーデンが言うように我々は知らず知らずに監視されており、インターネット上のプライバシー問題は常に付きまとう。おかげで現実に疲れても人間社会から隠遁しづらくなってしまったが、事件や事故に巻き込まれた行方不明者の捜索には相当役に立っているので、単純に良い悪いでは割り切れないものがある。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。