あんな家こんな人
vol.14 西太后
2018-09-20
豪華な衣装で固め、正面からカメラを睨む、ふてぶてしさまで感じる女帝写真。中国、清朝の西太后だ。しかし、あの紫禁城で女ひとり戦い抜いたこの人は、どんな人なのか、過去の記録を鵜呑みにせず、私なりに調べてみた。
妃への選抜テスト
生家は、下級官吏の貧しいエホナラ家。妃選抜テスト「后妃選定面接」で偶々美人でもないのに合格し、数え18歳で3番目の皇太后に。2番目の皇太后(東太后)に子供ができず、夫の咸豊帝が若くして亡くなり、男児(後の同治帝)を出産した彼女は、同治帝が早世し、実質的な清の実権を握ることになる。
中国三大悪女
『蒼穹の昴』がドラマ化され、田中優子氏が西太后を演じたのは、知らなかったが、ともかく西太后は、嫉妬深く、残虐で権威主義と伝えられる。映画でも、ライバルの四肢を切断し、壷に入れたまま生かすシーンは脳裏から離れない。他にも毒殺、井戸に投げ込むなど根拠のない俗説が様々ある。
誕生日から看る四柱推命
四柱推命を診るに充たり、まず出生日を暦から『命式』というチャートを作る。乙日生まれの人。「乙きのと」は、草花や小枝を表すことから、手先が器用というのが分かる。実際に、宦官(かんがん『蒼穹の昴』参照)に身辺の雑事を任せず、自分でやりたがったという。「乙」は、弱々しいようで、風に折られることもなく、実は我慢強い。更に「木の五行」が強い人は、若々しく、子供っぽいところがある。誕生日の年月日のうち2つが金庫を表す『墓庫ぼこ』なのは、ビルゲイツ同様。また、『食神しょくしん』というグルメの星を持ち、争い事を好まない人。実際に、「西膳房」という専用厨房を設け、前菜を20種以上、午餐と晩餐では100種類以上の皿を並べさせたという。また『華蓋かがい』という星が夫と両親を表すポジションに2つある。”孤独感”を表す星だ。夫や親との縁が薄く、子供の頃、孤独感を感じていたのかもしれない。妃テストの理由も両親が妹ばかり可愛がり、早く親元を離れたかったと本人が云っている。
『命式』は、あまりに平凡で気抜けしてしまう。特に頭がいいとか、助けになる人も出て来ない。ひとつ云えるのは、偏りが少ないので、病気になりにくいということだけだ。人の人生とはそんなものなのかもしれない。ちょっとしたタイミングで人生大きく変わる。ちょっとした選択の違いから全く異なる道に進む事もある。
只々、健康で丈夫。我慢強く、若々しく前向きな気持ちの持ち主が、男尊女卑の社会で、人生の波に流されながら、耐えてきただけなのかもしれない。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

