あんな家こんな人
vol.8 天使
2018-06-14
「アレが来てから、ほんと変わった、、、」Tさんご夫婦はうなずく。奥様とのお付き合いは、もう30年近くになる。
彼女は、私の人生で出会った『いい人』のトップランクに位置するおひとり。一応、私の中で、『天使1』と勝手につけている。その『天使1』と10年ぶりに再会した。お会いしたら、首が曲がっていた。「寝違いが、ひどくなっただけかも。」と云っていた。ホテルまで送ってくれるというが、首が左に曲がったまま、体をひねってハンドルを切る危なっかしい彼女の運転は、正直怖かった。
ご夫妻は都内でジャズ・バーを営んでいる。あれから3年、久しぶりにお店を訪ねた。お二人共元気がない。昨年は店で出火、火災保険詐欺が発覚、保険のカバーはゼロ。そしてここ最近、売上がかなりダウンし、もう店の看板の店内ライブも辞めようか、体も限界だからランチも辞めようかと話す。何より驚いたのは、奥様がねじれていたのは、もう首だけでは無かった。最近は、おへそもねじれて変な位置にあると云う。病院を転々としたが、原因を突き止められないまま。おへそが変な位置にあるというのは、いくら想像してみても頭に浮かばない。顔色も良くない。もう、心配で心配で、ようやく、風水師の私の出番が来たのか、お世話になった『天使1』への恩返しができると予定をキャンセルし、翌朝ご自宅を訪問した。
17年ぶり(2001年が最後)のお宅。明るいダイニングルームが印象的で、自慢のアメリカン・コレクタブルの食器で戴くコーヒーやアップルパイが嬉しかった。けれど、今回の印象は違っていた。薄暗い、カビ臭い気もする。当時と違うのは、厳格なお爺さまが鬼籍に入られたこと位なのに。おしゃべりは早々に、風水実地鑑定に取りかかる。沢山の問題がみつかった。まず、2004年を期に、家の気の分布が良くないものに変わっていた*1。翌日は、お店。こちらの問題も明らかだった。初めは、躊躇されていた友人も、内容を理解され、ご自宅の玄関と家の中心、そして奥様のベッド、お店にも『アレ』を含む対策を施してもらった。
先月、久しぶりにお店を訪ねてみた。ランチもライブも順調、お店やご夫妻のファンが沢山できたそう。ナント、秋には、ファンのご招待で、ご夫妻で海外旅行とのこと。彼らの言葉を借りれば、『アレが来てから、ほんとにいいことばかり。』そっと聞こえないふりをした。だって、『アレ』*2もそうだけど、ご本人達の純粋な心と頑張りもあると思うから。
*1 風水鑑定法の1つでは、1984-2004年 2004-2024年と20年単位で家の気が変化すると云われています。
*2 伝統的な風水用品のひとつ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

