旅は呼んでいる。
vol.4 フランス 〜パリ〜
2018-04-26
パリはストライキの真っ只中。鉄道や飛行機が一部運休だが、大きな混乱はない。フランス革命以来、トリコロールの旗に「自由・平等・博愛」を掲げてきただけありストライキには寛容なようだ。
さて、そのフランス革命で有名な人物といえばマリー・アントワネット。彼女が暮らしたヴェルサイユ宮殿は贅の限りが尽くされていて、革命の一因となった国の赤字は王室の浪費によるものではないという定説に疑念を抱いてしまう。その広大な敷地の一画に、煌びやかな宮殿とは対照的な“農村”が存在する。現実逃避のために王妃が田舎の農村に似せて作らせたもので水車や葡萄畑もあり美しく、まるでおとぎの国に迷い込んだよう。宮殿からは少し遠いが、のんびりと散策するには丁度いい。
史跡として、五つ星ホテル“リッツ”もぜひ。ベル・エポック全盛期には『失われたときを求めて』の作者プルーストや詩人のジャン・コクトーが、第二次大戦中にはパリ陥落に伴いヘルマン・ゲーリング率いるナチスに占領されるも営業を続け、文豪ヘミングウェイや写真家ロバート・キャパ、ココ・シャネルといった錚々たる顔ぶれが滞在した。そんな歴史を肌で感じたく、ホテル内のレストラン“エスパドン”を訪問。シビレ(牛の胸腺)をいただきながら「かつてここで著名人たちが食事をしたのだなぁ…」と感慨に耽った。
ルーヴルやオルセー以外にも美術館がたくさんある。今回は、ギリシャ神話や聖書をモチーフにした耽美で幻想的な作風の画家ギュスターヴ・モロー美術館へ。他にもピカソやドラクロワ美術館があり、絵画めぐりだけでもあっという間に時間が過ぎてしまう。
エルメスやルイ・ヴィトンなど高級ブランドの本店もあるが、例えばナポレオンが食事をした“ル・プロコープ”や、詩人のアルチュール・ランボーとヴェルレーヌがアブサンを嗜んだ“レ・ドゥ・マゴ”を訪れるという楽しみ方もある。ヨーロッパの中でも特にパリは、歴史をおさらいして行くと倍面白いはず!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。