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コラム

来夏の映画観ようよ♪
vol.9 レッド・スパロー

2018-04-05



 先月、ロシアの元二重スパイが猛毒神経剤により意識不明の重体で発見された。まるで映画のようだと衝撃を受けたが、自身の抱いてきたロシアやスパイのイメージは、はたしてどこまで真実に近いのだろうかと思いあぐねた。
   
 ボリショイ・バレエ団でプリマバレリーナだったドミニカ・エゴロワ。足の怪我により将来を絶たれ、困窮していたところをロシア情報庁の幹部である叔父ワーニャに救われる。しかし見返りとして、ターゲットを心と肉体で巧みに誘惑する女スパイ<レッド・スパロー>になるよう過酷な訓練を強いられ、情報庁内でアメリカへ機密を流している二重スパイを見つけ出す任務に就くことに。ドミニカはCIA局員のネイトに近づき二重スパイの情報を探るが、敵であるはずの彼に惹かれ、祖国への信念も揺らいでいく。ロシア側から早急に裏切り者の名前を挙げろと迫られる中、彼女の下した決断とはー。
 
 原作者は、旧ソ連や中東でネイトのように情報提供者をリクルートしていた元CIA局員で、本作はその経験がベースになっているという。ドミニカがいわゆる“ハニートラップ”の訓練を受けた養成学校は、旧ソ連に実在したらしい。そうした背景を踏まえて観ると、残酷な拷問の場面もノンフィクションなのでは…と想像が膨らみ、より痛そうに見えてしまった。また、女監査官の「冷戦は続いているのよ」という台詞に、はっとした。そういえば、冷戦終結後もロシアは多くの映画で“脅威”として描かれており、それを観てきた自分は知らず知らずのうちに冷戦が続いているものと刷り込まれているのかもしれない。先のような事件が起こると、否が応でも映画はリアリティを増してしまうわけだが。
 
 現在、欧米諸国から大勢のロシア外交官が国外退去になる事態となっている。冷戦が再び現実にならないよう願うばかりだが、それにしてもドミニカの叔父が某大統領に似ているのは、一種のジョークと受け取っていいものだろうか。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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加西来夏

職業:旅する映画ラヴァー。映画の聖地であり、年中カラっとした最高の気候…世界中を旅しているけど、やっぱりL.A.が大好きです。年間視聴映画100本以上、訪問39ヵ国~。好きな言葉は“世界は驚きと奇跡に満ちている”。ご意見はkasai.laika@gmail.comまで




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