来夏の映画観ようよ♪
vol.6 ジョー・ブラックをよろしく
2018-02-15
恋って、なんだったっけ。一時期“干物女”という言葉が流行した。面倒だから、何となく、という理由で長らく恋愛を放棄し、心が干物のように干からびてしまった女性を指すのだが、今まさしくその心境である。仕事と趣味とで充実している。でも何かが足りない...。
ニューヨークでメディア会社を経営する、敏腕社長のビル・パリッシュ。65歳の誕生日を前に、愛する娘アリソンとスーザン、有能な部下ドリューに囲まれ幸せな生活を送っていたが、ある日胸に強い痛みを感じる。それと同時に、どこからともなく「そうだ」という囁き声が聞こえるようになり、不審に思っていると数日後、ひとりの若い青年が現れる。青年はビルを迎えに来た死神だと告げ、人間の世界を案内してくれれば寿命を数日延ばしてやろう、と提案を持ちかける。彼は承諾するものの、死神はあろうことか人間に恋をしてしまうー。
序盤、スーザンが婚約者のドリューに対してややクールなことを心配し、本当の恋とは何かと諭すビルに激しく同調した。「愛とは、情熱だ」続けて、足が地につかない想いや、目の眩むような興奮は、と畳み掛けてくる。使い古された言葉が並ぶが、ビルを演じるアンソニー・ホプキンスが台詞にすると深みがあり心に響く。そうだ、恋に落ちるとはまさにそのような感覚だった、と思い出させてくれるのだ。そして、青年の姿を借りた死神=ジョー・ブラックが周りの人々と触れ合う様が、子供のようで可愛らしい。あまりに純粋で、こんな風にまっすぐに人と接し、愛することが出来たらどんなに素晴らしいかと思ってしまう。
出会いは、劇中のようにカフェはもちろん、職場や趣味の集まり、行きつけのバーにも転がっているだろう。しかし、稲妻に打たれるような恋は難しいので、本作で死神役のブラッド・ピットの美しさを堪能しつつ、そんな恋愛を存分に擬似体験するという手もある。ひたすら甘い気分に浸りたい、純粋な恋を思い出したい!という時におすすめ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

