キム・ホンソンの三味一体
vol83 人のために働く人の資質
2017-09-21
9月13日、法案491号がカリフォルニア州上院の委員会で採択され、現在は州知事の署名を待つだけとなりました。この法案は同州内で日系人の強制収容を学ぶ教育活動に対し、3か年で計300万ドルを助成するためのものです。そしてこの法案の提案者はアル ムラツチ州下院議員です。ムラツチ議員は、以前私がソーシャルワーカーとして働いていた社会福祉団体の当時のボードメンバーで、個人的にも大変お世話になった方です。ムラツチ議員のすばらしいところは、この法案を日系人のためだけではなく、すべてのアメリカ人の普遍的な価値を守るものとして位置づけているところです。要するに戦時中強制収容をされた日系人の苦痛と、その後強制収容は人種差別で違憲だと政府を相手取り違憲判決と謝罪を勝ち取った歴史を学ぶことは、現政権の人種差別的で歪んだ政策にはっきりとノー言える確かな根拠を知ることになるのだというのです。
日系3世のムラツチ議員は、お父さんの勤務地・沖縄で生まれ、そこで17歳まで過ごしたそうです。だから彼の中では故郷は沖縄だという思いがあって、たまにそのことを日本から来た人にシェアすると「でもあなたアメリカ人でしょ?」と言われるそうです。長年日系アメリカ人コミュニティーのために働いて来た彼ですが、同じ日系人の方から「あなたは100%日系人とは言えない」と言われたこともあったようです。このことを聞いて、同じく日本と韓国の両方に愛着をおぼえながらもどこにも属していないと感じてしまうこともあった自分の思いと重なり、深く感動しました。同時に、自分の痛みを通して人の痛みを感じることの出来ること、これは人のために働く公人である彼の資質だと確信しました。
その彼が、アメリカで日本人と韓国人の親の間で生まれ、ともすれば自分がどこにも属し得ないと感じてしまうかも知れない子供達をサポートしたいと、10月29日、日韓ファミリーイベントに来てくださいます。基調演説を通してそれらの家族を励ましてくれるものと期待して待っています。他にも日本と韓国の総領事館の方からも祝辞をいただくことになっています。子供のための3カ国語教育、子供への精神的なサポート、日韓の文化や価値観の違い等についての講演があり、小グループディスカッションもあります。入場料は無料で託児サービスとリフレッシュメントも用意しています。fb.me/FOSL.Community
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

