後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第392回 日本語メデイアの今と今後
2016-09-15
LAの日本語メデイアの経営に、赤ランプが灯っている。
ネットによる情報の多角化が、旧来の媒体に再起不能な痛打を浴びせかけているからだ。
二十四時間日本語テレビのUTBは九月はじめ放映帯を韓国テレビに移譲、日曜夜の一時間半だけ別チャンネルで放映中だ。
無料誌「ブリッジUSA」も九月号で廃刊、イベント事業とウエブ広告に新天地を求めるという。
一九○三年創業の老舗、羅府新報は深刻な経営不振に陥っている。
インターネット配信に存続をかけるが、購読契約が一万以上に達しないと新体制への移行は難しいとみられている。
紙媒体の一般情報はネットで拾えるから需要薄。冠婚葬祭特に死亡情報、健康情報等に特化すると工夫次第で生き残りが可能だ。
自動車の関連情報に特化するのも手だ。目を新車市場だけに向けず中古車市場、デイラー、修理工場等の情報を提供すれば十分ビジネスになる。
あるいは「スシ&サケ」や「カルチュラル・ニュース」のように日本食や日本文化に特化した日英ニュースのニーズも将来ふえるだろう。
無料生活情報誌「ライトハウス」は活字媒体の成功例だ。
配布エリアをLA周辺に限定せず、サンデイエゴ、ハワイ、シアトル、ポートランド等へ拡大中。
活字事業のほか国際教育やEコマース事業に進出し、日本語生活の充実化を図っている。
他方、テレビ業界は「TVジャパン」(NHK)の存在が大きい。
全米ネットの強みを生かし、日系ローカルニュースを強化、高まるニーズに応えたら、さらなる顧客増を見込めるだろう。
ただし番組変更の告知は素っ気ないとの声も。契約で番組を買っている顧客には変更理由を示す説明責任がある。
海外の日本語メデイアに対する日本政府の補助はないに等しい。
不確かな情報だが、韓国放送発展基金は海外の韓国メデイアに三百億ウオン(二十七億円)を補助しているという。
日本政府も「ジャパンハウス」を通じ日本文化発信事業と位置付け現地日本語メデイアを応援したらどうだろう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン








