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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第399回 強欲資本主義を正すマリナレダ村

2016-11-03

「今の資本主義は他人の富を奪って自分の利益にするシステムだ」。
スペイン南部アンダルシア州のマリナレダで小さな運動が始まっている。
人口二千七百人余、一二○○㌶、東京ドーム二万五千五百倍の村で、村人総出でそら豆、オリーブ油などのエコ農業を拓いている。
ヨーロッパで失業率二割以上がここではゼロ。
仕事の内容に関係なく一ヵ月三十五時間労働で村人の月給は一二○○ユーロ(約十五万六千円)、スペインの最低賃金の二倍以上の額だ。
家を欲する人が建設作業に参加することを条件に、土地や資材、建設設計、大工派遣の援助を受けられるという。
加えて庭付き家の家賃が月一五ユーロ(二千円)、インターネットも無料。
一九七○年代、 飢餓とストライキ、土地と自由を求める抵抗運動の中でスペイン政府が降りて、土地一二○○㌶の村有化が認められた。
ゴルデイーヨ村長は一二年のスペイン債務危機でアンダルシアの失業率が三四%に達したときスーパーマーケット襲撃を指揮した。
小麦粉、米、砂糖など生存に必要な食料を強奪し、困窮者に配って世界の話題になった。
政府の無策を傍観できず立ち上がった侠気に警察も手が出せず、彼は今や「現代のロビンフッド」と仰がれている。

世界的に貧富の差は広がる一方だ。
強欲資本主義がまかり通り、巨大企業一社の売り上げが一流国家の歳入を上回るご時勢だ。
ビル・ゲイツやウオーレン・バフェットの資産は中堅国家の歳入より多い。
世界の富裕層六十二人の資産平均が三兆円以上、三十六億人の平均資産が五万円という矛盾。
マリナレダは共産化の砦と言う人もいるが、仕事と家が保証されるとあって「強欲資本主義を正す手本」と歓迎の声のほうが圧倒的に大きい。
ゴルデイーヨ村長に譲れない掟がある。それは「衣食住を投資の対象にするな」というものだ。
「強欲を捨てよ。小麦や家等衣食住に投資し買い占めたりすると他人の不幸を喜ぶ社会になる」。
村長の指摘は現代への警鐘の声だ。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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