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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第409回 名演説は情熱、諧謔、悟りの所産

2017-01-19

バラク・オバマが大統領として最後の演説に臨んだ。
『あなたたちがチェンジそのものだった。変革をもたらす力を信じよう』と語りかけた。締めは『イエス・ユー・キャン』だった。
情熱、言葉の選び、間合い、声の張り。すべてにおいて彼は歴史に残る名演説家のひとりだ。
ゲテイスバーグ演説を行ったのは実はエドワード・エベレットという当時の名演説家だった。ハーバード大学学長、国務長官等を歴任した人物だ。
『古代から現代に至る自由への英雄的努力は、アメリカの戦場で示された勇気や犠牲へとつながるものだ』。
その華麗かつ荘重な演説がおよそ二時間続いたあとで、ちょっと挨拶に立ったのが大統領のリンカーンだった。
しかしこのわずか数分、二百余語に過ぎない語りかけがアメリカの政治史と精神史を塗り替えることになる。
『人民の人民による人民のための政治・・』。
トルコ建国の父、ケマル・パシャの演説は愛国の火の玉だった。
『トルコ国民を進歩へ向かって導かねばならない。わが国民の歩みは始まったばかり。私を殺すことはトルコ国民の未来を奪うことだ。
わが国が進歩への道をしっかり歩けるようになった暁に私はすべての権力を手放すハラだ。はっきり言おう。現時点において私がトルコなのだ』。

日本の政治家もたまに味な演説をする。
暗殺された社会党委員長、浅沼稲次郎を悼む池田勇人(第五八~六○代首相)の追悼演説の一部は次のとおり。
池田の語り口は日本伝統の七五調、政敵・浅沼を「沼」と呼びかけ、諧謔に淡い情感をこめる。
『沼は演説百姓よ。汚れた服にぼろカバン。きょうは本所の公会堂。明日は京都の辻の寺』。
後小松天皇の落胤、一休禅師の説教も七五調。
『南無釈迦じゃ娑婆じゃ地獄じゃ苦じゃ楽じゃ、どうじゃこうじゃと言うが愚かじゃ』。
『世の中は起きて箱して寝て食って、後は死ぬを待つばかりなり』。「箱して」は「脱糞して」の意。昔の貴族は樋箱に脱糞していた。
かく悟れば古今の偉人に伍して思いの丈を伝えられるとぞ・・。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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