今月の庭仕事
Lesson 191 木の枝について
2017-08-09
小さい頃、私の祖父はよく縁側で庭の木を眺めていました。おそらく庭の四季を通して自然を眺めていたのでしょう。日本人が庭の木々を眺める時、木々の大きさや枝の位置や向きなどを考え、姿や形を気にします。今回は自然態の枝に的を絞り、お話します。
「枝」にはいくつもの性格があります。形を整える枝、花や実をならせる枝、光合成をする葉を支える枝、そして小鳥たちに巣の場所を提供する枝などの楽しい側面もあります。
盆栽や庭木を楽しむ人にとって一番難しいのは、どの様な“枝ぶり”にするかです。自然に育つ植物は太陽に向かって均整のとれた姿で大きくなります。庭木や果樹も広い場所、満遍なく当たる日光そして普通の土があれば、手をかけずとも均整のとれたものになります。
しかし広さ・日光の方向性・土壌タイプが限られた木や、どの大きさの木にするかで整枝が必要になります。整枝で一番重要なのは日光が当たらない木の中の小枝と上に真っ直ぐ伸びる枝の除去です。真っ直ぐ上に伸びる枝のほとんどは、どこから出ているかを問わず、出ている部分の枝元の組織から除去しましょう。新しい枝は新鮮な色合いで分かりやすいです。そのままにしておくとドンドン大きくなって木の形が崩れ、周りの枝は栄養分を横取りされた状態なので成長が抑えられます。
バラなども勢いのある枝が中から出てきますが切り取ると、栄養分が周りの枝に分配されて元気になります。二次的に株全体の姿も整います。
庭木や果樹は、おおむね枝に花が咲いたり実がなります。全体を見ると、垂れさがったり、上に真っ直ぐ伸びる枝よりも横向きに伸びた中くらいの太さの枝の方が成績は良好です。
花木や果樹類で実がなるのはだいたいが小枝です。新しい小枝、または一年前に出た小枝に実がなるものがあるので、区別をはっきり認識して剪定しないと失敗します。たとえば柿は2018年の春に出る短い小枝に花をつけて実がなり、ミカン類は2017年にできた小枝に2018年の春に花が咲いて実がなります。無花果は春の新しい枝に実がなるもの、前年の枝になるもの、またはその両方になるものがあるので、品種を確認してから剪定しましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

