今月の庭仕事
Lesson 188 夏の水やり
2017-06-22
花や野菜を育てるために水やりが大切な季節となりました。せっかく育てるのですから綺麗な花や野菜を期待します。そのためには土や鉢の中に適切な水の含有量が大事です。「適切な水の含有量」とは、植物の根が必要とする空気酸素が入り込む隙間が残されていて、なおかつ根が吸い上げることのできる水分の量が存在する状態のことです。では、この状態を長く保つにはどのようにすれば良いでしょうか。
土には含むことができる水の最大量があり、飽和点を超えると与えた水は地下、鉢の外、地表に流れ出ます。しかしこの現象もほとんどが飽和点に達したわけではなくて、水を与える量が土に浸み込んでいく量より多い場合です。与える水の量と土に浸み込む量が同じであることは、理想的です。流れ出た水は地表に近い肥料分の流失でもあるので、経済的にも無駄です。
乾いた土に浸透し始めるのには少し時間がかかります。これはピートモスなどを含む鉢植え用の土に顕著です。これを解決するには、2回位に分けて水やりをすると、良く浸み込みます。1回と2回の時間の間隔は1回目の水が完全に引いてから2回目の水やりをします。このやり方は肥料をあげる時にも効果的です。
植物の生長期間中は、種を蒔いた時やまだ若い時は、1回の水やりの量を少量にして回数を増やします。回数を増やすことは植え付けの後でも大事で、新しい根が周りの土の間に生長して入り込む時まで続けます。生長するに従って、根が水を吸い上げる範囲は大きくなるので水やりの間隔は長くなり、量も多くなります。
また植物がどのタイプの土に植えられているかも考えて水やりすることが必要です。粘土質の場合は浸透するスピードが遅いので時間をかけてやり、砂地の場合は早く浸透しますがすぐ乾くので調整が大事になります。
“水やり”ではありませんが、水分を保つのに非常に効果的なのが、土の表面を落ち葉など大きくて粗いもので厚く覆ってやると土の温度が上がるのを防げ、風による水分の失い方も減ります。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

