今月の庭仕事
Lesson 169 秋植えの野菜について
2016-08-10
秋に種を蒔き、または既にできた苗を植える秋野菜は、早いもので年内に、または、翌年の早い時期に収穫時期を迎えます。
ところが、これに当てはまらない種類の野菜もたくさんあります。夏の暑さを避けて栽培すれば、春と秋のどちらでも栽培できる野菜です。このような野菜には成長期間の短い葉菜類が多くあります。しかし、果菜類や根菜類のように成長期間の長いものには、ほとんどありません。
つまり花が咲いて実がなるまでの時間、または、根が成長して大きくなるまでの時間が必要でないため、収穫するまでの時間が短くなるということです。
成長期間が短い野菜の代表と言われる二十日ダイコンも、実際の栽培では30日から40日はかかります。しかし、感覚的には種を蒔いてすぐに収穫できるような気がします。普通の根菜である大根でも、間を空かすための間引きだけをきちんと考えれば、成長期間の短い立派な葉菜になります。ですから、葉菜、根菜、果菜類などの線引きはそんなに明確ではありません。
秋まきの野菜で大事なことは、冬の寒さが来る時期をだいたい正確に知ることです。寒さは、葉が巻き始めるのを調整したり、花芽の発生を抑制したり、土の温度に影響して微生物による栄養分の放出にも影響を及ぼします。
日本のようにハッキリとした四季のある場所においては、寒さが来るまでの時間が分かりやすいので、それに合わせて逆算して栽培すると楽になります。
しかし、南カリフォルニアでは、冬でも様々な地域で異なった土壌の分類、気候や気象条件があるので、ある程度、不安定な栽培基準になるのはいなめません。ご自分の住んでる場所の大まかな天気の推移を把握することが大事にです。
「寒さが来ないうちに、早く植えてしまえばいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、あまり早く植えて、寒さが来るまでに大きくなってしまうと、強い寒さが来た時に悪い影響が出てしまいます。かといって、イチゴのように寒さを経験しないとたくさんの花が咲かないこともあります。
これらの理由で11月頃に植え出す家庭用の苺の苗は、自分で冷蔵庫の野菜コンパートメントで一ヶ月ほど冷やしてから植えた方が成績が良くなります。
もちろん植える前に土の準備もしっかりしてから植えることが大事です。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

