JERCの教育相談Q&A
vol6 英語の分からない子どものヘルプでプレッシャーを感じ始めているようです
2016-07-18
Q:子どもが学校で、日本から来たばかりの生徒のヘルプをしているのですが、子ども自身も新しい学年で大変なところに、英語の分からない子どものヘルプも担任から頼まれ、プレッシャーを感じ始めているようです。このような時、どう対処したらよいのでしょうか。
A:現地校では、英語が習得できていない子どもが編入してきた場合、同じ国の生徒がいれば、二か国語できるその生徒にヘルプを依頼するのが常です。教師は、言葉が分からない生徒とコミュニケーションをとる場合や、授業の中で簡単な説明、そして学習の手助けを頼みます。学習言語が習得できていない生徒を指導する教師へ協力することになりますが、ヘルプする生徒の側への配慮も必要でしょう。
①ヘルプする側の対応
自分自身も進級し、学習に対応していかなければならない中、日本から来たばかりで、言葉も解らない生徒を授業中にヘルプすることは、たいへん重荷になるケースがあります。1対1ならまだしも、一人で三人の生徒をヘルプするという、日本人が多く居住する学校区では起こり得るケースです。もし学習に影響が出てきたならば、保護者が担任に、子どもが負担を感じていることを伝えましょう。手紙を出すこともよいのですが、現地校では保護者から手紙を受け取ることを、重大なことと捉えられることがありますので書き方に注意が必要です。生徒によっては、ヘルプしてくれる生徒に全面的に頼ってしまうケースもありますので、『後は自分で考えてね』と伝えることも大切です。
②ヘルプされる側の対応
現地校に編入したばかりのときは、みな誰かに助けてもらいながら学習していきます。しかしそれが当たり前にならず、出来るだけ自分で学習に取り組むように、保護者の方はお子さんに伝えて下さい。異文化の中では、自分自身で壁にぶち当たりながら、恥をかきながら言葉や習慣を体得していきますので、クラスの中で早く自立できるように努力することが大切ですね。
③ 保護者同士のコミュニケーション
ヘルプする側される側の、保護者同士のトラブルが時々発生します。子どもが現地校に編入したばかりという保護者の方は、お子さんにクラスの中で誰かにヘルプしてもらっているか、クラスの様子を聞いてみて下さい。もしヘルプしてもらっているならば、その生徒の名前を聞いて保護者の方に挨拶しておきましょう。『いつも助けていただいて、ありがとうございます。できるだけ自分でするようにさせますので、宜しくお願いします』と伝えることで、ヘルプしている側の保護者も、我が子が負担になっていると感じているものの納得するものです。
以前、編入したばかりの生徒の保護者から相談がありました。世話になっている保護者から”無視”されているという内容でした。相談者の話を聞きますと『私は学校内のクラスでのことは分からない、ヘルプは先生が頼んだことで、私が頼んだわけではない』と言われ驚きました。言葉も解らない自分の子どもが、クラスの中でどれほど手間をかけ世話になっているかを、理解されていない人のようでした。私はとにかく、子どもが助けてもらっていることのお礼を述べるように伝えました。感謝されて怒る人はおりませんから、常にお子さんに学校での様子を聞き、その都度、対応するようにすればトラブルを防ぐことができます。
またヘルプしている側も、自分の子どももお世話になったのだから、今度はお世話してあげるという心をお子さんに伝えましょう。いつでも誰にでも「感謝」の気持ちを忘れずに!!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。