JERCの教育相談Q&A
vol1 子供に日本語と英語をどのように教えていけばよいでしょうか
2016-02-09
Q:3歳の子どもをもつ母親です。これからキンダー、小学校と現地の機関で教育を受けさせたいと考えていますが、日本語も育てていきたいと思っています。これから日本語と英語をどのように教えていけばよいでしょうか。
A:3歳、4歳の時期は「ことば」が急激に伸びる年齢です。この時期のお子さんには、まず「母 語」を育ててあげて下さい。子どもが生まれて初めて聞くことばが母語となります。母親が日本語で語り掛ければ、子どもの母語は『日本語』となります。日本語でたくさん語り掛け、親と子のコミュニケーションをしっかり取っておくとよいですね。そして学習するための言語力と学習能力、それは最初に日本語で構築することが大切なのです。
小学校入学までに日本語でものが考えられること、自由に発言できること、そしてある程度、 ひらがなが読めて書けるようにしておくと、現地校へ入学しても、基礎の言語能力が養われていますので、スムースに学んでいけます。
日本語で本を読んだり作文を書いたりする能力は、現地校で学んでいく上で、たいへん役に立ちます。第二言語力(英語)は、母語(日本語)の力を越えないと言われています。例えば、母語である日本語力が10段階のレベル6だとします。そうすると第二言語の力は、その日本語力レベル6を超えないということです。言語習得のメカニズムをしっかり理解していただければ、自ずと大事なことが見えて来るでしょう。
では、日本語を育てていくためにどのようなことをすればよいでしょうか。一つ目は、お母さんが
本の読み聞かせをしてあげることですね。読み聞かせは、言語の構文が理解できるだけでなく、語彙も増えます。そして頭の中で、ストーリーをイメージすることが出来るのです。二つ目は、正しい日本語で語りかけ、お子さんの話をゆっくり聞いてあげることも母親の役割ですね。 日本語が育つかどうかは、ご家庭での努力にかかっています。
英語圏で生活をしていますと、子どもに早く英語を教えたい、覚えてほしいと思われるのは当然です。しかし、決して焦らないで下さい。同時期に英語と日本語を教えることについてのご相談がありますが、両方の言語が十分に育たないという、ダブルリミテッドになる危険性がありますので避けた方が宜しいでしょう。英語はプリキンダーに入る頃から少しずつ教えていき、決してプレッシャーをかけないこと。日本語が読める子どもは、英語にも興味を持つケースがありますので、その時、絵本を見せたり音楽を聴かせたりして、楽しさを感じさせるところから入りましょう。現地のキンダー、小学校に通うようになれば、英語で学習していきますから「英語力」 は序々に付いていきます。
異文化の中で、幼児期の子どもを育てるのが一番危険であると云われています。言語の基礎ができていない時期だからです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。