苦楽歳時記
第215回 豆腐と納豆
2016-09-08
「豆腐の日」は、語呂合わせで十月二日。「納豆の日」も、語呂合わせで七月十日。
東日本の朝食には納豆は欠かせないが、西日本ではまだまだ敬遠されている食材。
豆腐は調理方法も多種多様で、江戸時代に出版されたベストセラー『豆腐百珍』には、二百三十以上の豆腐料理を紹介している。
豆腐は日本全国津々浦々に浸透した、老若男女に好まれる食品の一つだ。英語でも『Tofu』で世界共通語になっている。
江戸時代の儒学者、貝原益軒は『養生訓』の中で、豆腐は毒があって気がふさぐので、なるべく新しいものを煮て、大根おろしを加えて食べると害はないという。
夏の暑い盛りには、ネギ、ショウガ、ミョウガ、青じそ、花カツオなどの薬味を添えた冷奴にかぎる。「山と盛る 薬味に隠る 冷奴」(正木和子)
美味しい冷奴の食べ方は、容器から豆腐をボールに移して、水にひたして冷蔵庫の中で二、三時間あくぬきをする。ポイントは豆腐をひたした水の中に、小さじ一杯分の酒を入れること。
二〇一五年度の豆腐消費量ランキングは、一位三重県、二位岐阜県、三位静岡県。
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「山寺の 寒さをたたく 納豆汁」(芭蕉)
二〇一五年度の納豆消費量ランキングは、一位福島県、二位群馬県、三位長野県。
ここであまり知られていない、納豆の軽石揚げを紹介する。まず、豆腐の水切りをして、滑らかになるまですりつぶす。この中に小粒の納豆と黒ゴマを混ぜる。塩と醤油で薄味をつけたら、これをスプーンですくい熱した油で揚げる。揚げたてをからし醤油と大根おろしで食べる。
大豆は縄文時代には食べられていなかったが、時代を経て邪馬台国の女王卑弥呼は、毎日大豆を食していた。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

