後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第380回 イチローはP・ローズを超えたか
2016-06-23
〝イッチロー″というイチローのもの真似芸人がいるのを知らなかった。
投手の球をバッターボックスで待つイチローの仕草はそっくりで笑えるが、気質まで似ている訳ではないだろう。
イチローの気質は天才に多いアスペルガー症候群と言われている。ひとつ事に熱中しこだわるが、付き合いが苦手。
アインシュタイン、エデイソン、ベートーベン、ビル・ゲイツにスピルバーグ。彼らにも同様の特徴がみられるという。
日本人ではジミー大西、さかなクンら、歴史上の織田信長、坂本龍馬らも似た気質の人ではないかと言われている。
日米を合わせたイチローのヒット数がピート・ローズの大リーグ記録四二五六本を突破、話題になっている。
しかし日本で「イチロー-世界一」と大騒ぎしても、米国は「大リーグの記録に高校記録を足したようなもの」(ピート・ローズ)と次元の違いを指摘する声のほうが多い。
ラジオ解説者コウハードは「イチローは蚊。短打を打つだけで、打線の軸にはなれない」と切り捨てている。
シアトル時代、記録一途の執心がミーイズムととられ、彼を狙った同僚の集団リンチがマクレーラン監督の説得で未遂に終わったこともある。
一九六一年、ベーブ・ルースのホームラン六○本に迫ったロジャー・マリスのもとに脅迫電話や剃刀の入った封書が連日、届けられたそうだ。
並みの選手には二千本安打さえ至難のワザだけに、とんでもない大記録に違いないが、参考記録扱いにしたい米ファンの気持ちも十分わかる。
イチローの快挙に江戸川大学の小林至教授(元ロッテ投手)は的を得た言い方をしている。
「日米合算ということで米国ではそれほど評価されなくても『大リーグこそ世界一』という彼らの思いを尊重したうえで、日本人としての論理を喜べばいい」。
その上で米通算三千本を達成し米野球殿堂入りを決める暁に、日米で歓声を共有すればいい。
イチローの飛躍は大リーグの弾み。〝イッチロー″もほくほく。日米で笑顔になれる。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

