後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第360回 タレントを拘束する芸能事務所
2016-02-04
人気アイドルグループSMAPの独立騒動で、日本芸能界の特異性が取り沙汰されている。
エージェンシーとマネジメントを兼ねる日本の芸能事務所は所属芸能人の自由を奪い搾取する体質を持っている。
独立すると言い出すと芸能事務所は「誰のお陰で人気者になれたんだ」などと激怒、「後輩たちの手前、独立させるわけにいかない」と芸能人を拘束し自由を奪う。
独立した芸能人を使おうとするテレビ局には「そんなことをしたらうちの全タレントを引き上げる」などと圧力をかける。
一九九四年にジャニーズ事務所から独立した歌手田原俊彦はいまだに干されたまま。
芸能界が芸能人を縛る日本に対し、米国にはそもそも縛るという概念が存在しない。
自己責任で芸能人がエージェントやマネジャーを雇うからだ。契約も解約も本人の自由意思だ。
LA在住の落合賢監督、女優・ダンサーヒロ・ヒロカさん、日本舞踊西川流カーク西川さんに米国の芸能事情を訊いた。
第五世家元を約束される西川さんはハリウッドで俳優,声優としても活動している。
自分に合ったエージェントと契約すればギャラの一○%でオーデーション情報を仕入れたり、仕事の便宜を図ってくれる。
エージェントよりヒロカさんにとって大切なのはマネジャーだ。ギャラの一○%を払えば芸能生活のすべての相談に乗ってくれるという。
監督や芸能人の生活を守ってくれるのが労働組合だ。
SAG・AFTRA(映画テレビ俳優が加盟する労働組合)に加入するには、入会金三千㌦、年会費二百㌦、手数料(収入の一・五七五%)を支払う必要があるが、アンフェアな労働一切を阻止できる。
日本には芸能人組合がないから、芸能事務所に拘束され意に反して働かされている。
吉本興業などの大手は芸能人に仕事を与えトレーニングを施す代わりに、ギャラの九○%を強制的に取り上げている。
エージェントとマネジャーにそれぞれギャラの一○%を払うだけで済む米国との差は大きい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

