今月の庭仕事
Lesson 165
2016-06-08
今日は植物の葉に見られる病気やとそれらの原因と対処についてお話します。植物は、環境や育て方に対していろいろな反応を見せますが、ここでは普通に観察できるものについてのみにお話します。
症状は、色、サイズ、形状などに大きく分類できます。まず目につきやすいのは葉の色が薄いか、黄色いかです。観葉植物にもよく見られますが、一番の要因は窒素分不足なので、窒素分の施肥で改良できます。その他に考えられる原因は日光不足、栽培温度の低さ、土壌・鉢土の酸性やアルカリ性、濃すぎる肥料濃度です。水の過剰の場合も同じような症状が出ます。
鉄分などの微量要素の欠乏によっても、葉の緑が薄くなります。ツツジ・クチナシなどにも見られ、重症になると葉脈の間が黄色がかり、葉脈に沿っての部分に少し緑が残ります。水はけの悪い所で長い間に水道水だけをやると、根の周りがアルカリ性の土壌になって微量要素の吸収が妨げられます。そこで水はけを良くし、酸性の肥料、ピートモス、堆肥などを使って矯正しましょう。
次に葉のサイズです。正常の葉に比べて小さい場合は、病気の症状や微量要素欠乏が見られなければ総合的な栄養不足か、水不足が原因でしょう。植物のサイズと窒素分は関係していて、枝に付いている葉のサイズで影響が左右されます。葉が大きいと光合成からの栄養分も多くなり、それが根に送られて根が大きくなり、その根はより多くの水分と肥料分を葉に送り、良い循環ができます。
過度の施肥は悪影響を及ぼし、植物を病弱にしたり、果物の味を水っぽくしたりします。多く茂る葉で果物が陰になると甘みも薄くなります。また風通しが悪くなると病害虫の温床にもなります。この辺りを踏まえて、窒素分の量、そのタイプ(化学肥料、有機肥料)、あげる水の量なども調整しましょう。
次に葉の形による健康判断です。正常な葉の形は病気もなく、日光、肥料、温度、水分などの生育環境が整った時にできます。正常な葉と比べると病気は分かりやすくなるので、ある程度の観察経験が必要でしょう。分かりやすい異常な形は、ウィルスなどに侵された時で葉がまだら状になったり、芯が縮こまったりして生長が阻止されます。このような状態のものを見付けたら引き抜いて捨てて、同じ場所に同じ症状を作らないようにするか、鉢などに植え替えてください。縮こまった現象は、娥の幼虫やアブラムシなどが若い部分に集中的に発生した時も起こります。手で取り除いたり、水で洗い流すことも可能です。
野菜類は種から育てると、必ず葉の形状が違ったものが出るので、間引きして正常な葉を持ったものを残しましょう。植物が育つ時、いろいろな症状を観察できます。それらを利用して自分の植物栽培に利用しましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

