今月の庭仕事
Lesson 162
2016-04-13
トモト、きゅうり、ナスは夏野菜の代表的な野菜ですが、育てる上で少し違う面があるので、今回は、その違いについてお話します。
トマトは、非常に肥料の吸収力の強い植物で、窒素分の多い化学肥料や有機物与え過ぎると、直ぐ反応して太い茎と葉を作り出し、花は咲いても実がなりません。特にこの現象は夜の寒い時や授粉を助ける昆虫などの少ない春先に顕著です。理由として考えられることは、トマト自体が「まだ実を生ならせるには早すぎる」と自覚するからだと思います。
似たような現象はほとんどの生き物に見られ、いわゆる身体を充実させてから生殖期に入るという経過です。トマトにとって実をならせることは子孫を残すための生殖作業に他なりません。すなわち実をつけるために必要な栄養分のバランス、植物ホルモン、周りの生育環境 ( 日光、温度、水分など) が整った時に実がなります。この栄養過多を避けるには、肥料の量を肥料袋に書かれていることに制限することです。
きゅうりは根を浅く張る性質があるので、水分の補給/保持に努力することです。根が浅いということは酸素が必要であることなので、よく耕された水はけの良い土質を選ばなければなりませんし、深植えは禁物です。土の水はけが悪い(=酸素が少ない)と病気になる率が高くなります。
根が浅いため乾燥しやすいので、水を頻繁にあげるか、土の表面を有機物のマルチで覆う (水分の発散と表面を涼しく保つ) 方法があります。ただし水を頻繁にあげると栄養分の流出にもつながるので、水に水肥の栄養分を溶かしてから、水をあげるのも面倒さを避けるために考えられます。
ナスは非常に多くの肥料を必要とします。その理由は生育期間が長く、実が多いことが考えられます。対策としては、植え出す時に堆肥などの有機物や化学肥料を根の張る深いところに施肥しておくことが大事になります。よくナスには無駄花がないと言われますが、栄養不足などで実が大きくならないこと(小さい石なすの状態) もあるので、常時肥料分があるような栽培の方法が必要です。
ロサンゼルス地域は空気がよく乾燥します。特にサンタアナウインドの後などには葉ダニが発生するので、日が落ちてからホースの水で葉の裏表をしっかり洗い流してください。他の野菜と違い、ナスが夏の暑時に疲れてきたら強く切り戻して秋茄子への作業もしてください。この時には1/4位の周りの根をショヴェルなどで切り、追肥も十分あげましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

