Los Angelesの顔
Vol. 3 大川敏子さん
2016-07-12
着物スタイリスト
受賞式での中村さん夫妻
●最近はBETアワードの出演者の着物の着付けをしましたが、これまでで思い出深いエピソードを一つだけ教えてください。
2008年グラミー賞にノミネートされた太鼓奏者、中村浩二さんから授賞式のドレスコードについてご相談を受けました。ブラックタイでの出席が必須でしたが「タキシードよりも紋付袴で日本人をアピールされませんか」とアドバイスさせていただくと、「私も同じ考えでした」と中村さんのお返事。New Age部門でグラミーを受賞され、記念撮影ではグラミー賞主催者側より「今までのグラミー賞受賞者で和服姿はあなたが初めてです」と、ベテラン受賞者より中央に案内されて、紋付袴姿で晴れの撮影となったそうです。
●ビックリした着付けリクエストは?
ハリウッドのエージェントから着付けの依頼があり、振袖を用意して待っていると、現れたのは身長180cm のマッチ棒のような男性モデル!「袴でしたか?」と尋ねると「New Yorkの有名カメラマンたちによる撮影会があるので、振袖を着たい!」とのこと。けれど彼が選んだのは更に艶やかな色打ち掛けでした。約300人もいたモデルの中でカメラマンの注目を集めた彼の写真が某有名雑誌に掲載されたと、後日、連絡がありました。
男性モデルに着付する大川さん
●有名・無名、様々な段階にいるアーティストの着付けを数々していますが、毎回どんな気持ちで着付けをしていますか。
着付は裏方の仕事で、着付ける側とモデルさんとの共同作業です。自分の着付けでショーに出演するモデルさんや映画の撮影に入る俳優さんを陰から見ていて、終了するまでドキドキ緊張しっぱなしです。“成功して当たり前”の厳しい世界なので、終わると皆で抱き合って喜びます。アーティストの方々の喜びは私の喜びでもあります。
【大川さんinfo】
kimonohime.com
www.flickr.com/photos/kimonokoto/sets/
fb: Toshiko Okawa
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。