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コラム

苦楽歳時記
vol203 夫たる者よ

2016-06-16

 パトリック・マケリゴット著の『夫婦の愛が築く、子どもの未来』(いのちのことば社)を読んだ。本の扉を捲った表紙には、著者の直筆のサインがあるので、家人が講演会の折りに買い求めた本であろうかと思う。

 マケリゴット牧師は、正しい親子関係の築き方について、日本全国から講演の依頼が絶えない。けれども、師が声を大にして語られることは、家庭を祝福させるのは親子関係ではなく、むしろ夫婦関係にあるという。

 マケリゴット牧師は「エペソ人への手紙」を引用しながら、聖書に書かれている順序を見ても、まず、夫婦関係を正してから、親子についての記述に触れていると説明している。

 「妻たる者よ。主に仕えるように自分の夫に仕えなさい。」(エペソ五:二十二)

 「それと同じく、夫も自分の妻を、自分のからだのように愛さねばならない。自分の妻を愛する者は、自分自身を愛するのである。」(エペソ五:二十八)

 「いずれにしても、あなたがたは、それぞれ、自分の妻を自分自身のように愛しなさい。妻もまた夫を敬いなさい。」(エペソ五:三十三) 

 「子たる者よ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことである。あなたの父と母とを敬え。」(エペソ六:一、二)

 「父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。」(エペソ六:四)

 マケリゴット牧師は、聖書の順序は偶然ではないと説く。即ち、順序さえも教えであると覚えるべきなのだ。

 マケリゴット牧師曰く、「まず、夫婦を正してから親子について語る。実際には夫婦も親子も同一と考えるべきです。本当に良い夫婦関係を見ながら育っていく子供は祝福されて、親の誇りとなる可能性が多いのです」。

 「キリストが教会を愛したように、夫は妻を愛しなさい」(エペソ五:二十五)という御言葉は、目で見、耳で聞くような表現が伴ってくる愛であるべきだと、マケリゴット牧師は力説している。

 従ってマケリゴット牧師は年に数回、一輪の赤いバラを夫人にプレゼントするらしい。プレゼントをするタイミングは、夫人の誕生日やクリスマスといった特別な日よりも、むしろ普通の日を選んで、一輪のバラの花を夫人に手渡すそうである。

 この話を聞いて反論するのは日本の男性である。「あの赤いバラの話だけはキザだと思いました。日本人は以心伝心の夫婦仲です」。

 この意見に対してマケリゴット牧師は、「女性の心を全く知らない鈍感な人」だと思ったらしい。なぜならば「しなくてもいい。しかし、しなくていいからこそ、してくれるときには嬉しさが倍増する」。これが世界共通の女心であると、マケリゴット牧師は説明している。

 僕は、愛とは表現が伴う行為であると強調しているマケリゴット牧師の言葉が好きだ。なぜならば、神が罪人たる人間に対して、一方的に恩寵を与える自己犠牲的な行為は、磔刑(たっけい)と復活という感極まる表現行為を抜きにしては語れないからである。アガペー(神の愛)は、このような大胆な表現を通して、真実の愛を伝えようとしたのではないだろうか。

 聖書の中の聖書と言われているみことばに、「神は、そのひとり子を賜ったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである」。(ヨハネ三:十六)

 この、神の慈愛は、ひとり子を手放してまでもこの世を愛されて、永遠の命というこの上ないプレゼントを持って、罪びとたちを救恤(きゅうじゅつ)するためであった。この至上の愛のはじまりは、キリスト再臨の天啓まで、目で見、耳で聞くような、豪胆な表現が伴ってくる究極の愛なのである。

 従って夫たる者よ。主にみならって、雄々しく豪胆であれ! 妻や子供たちに、そして他者に対しても、目に見えて耳に聞こえるような愛の表示を、大胆に振るまおうではありませんか。

 愛の伝達を十分に活用させるためには、他者に対して、愛を伝えるべく表現が伴う行為でなければならない。

  「父の日を記念して」記す。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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