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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol57 理由なき偶然

2016-05-26

 先日、交通事故に遭いました。今月で5歳と10ヶ月になる娘の送迎中、ほぼ学校に着く手前のT字路で私達が来るのを知らずに左折しようとした車と激突してしまいました。スピードはせいぜい35から40マイル程度でしたが、ブレーキをかける間もない衝突だったので両車体とも大破。車の破片と冷却液で溢れかえり、それこそ事故現場を彷彿とさせていました。私の方は膝に打撲傷でしたが幸いにも娘も相手の方も何の怪我もありませんでした。数日後、保険会社から連絡があり、無念にも私達夫婦が結婚前から乗っていた愛車が廃車になると告げられました。思い出の車なのでとにかく出来るだけ長く乗りたいとメンテナンスを欠かさず大事に乗っていたのでとてもショックでした。

 なぜ事故や災害は起こるのでしょう?何の理由もなく事故や災害が起こり、不条理にも大事な物は破壊され、さらには人の命でさえも失われるのが世の常であると言えます。しかしよく考えてみると、この「理由なき偶然」はこと事故や災害にだけではなく、私達の他のすべての日常に対しても同じく当てはまるものではないでしょうか。今、私達がこうして生きているのも、私達が特別に偉い人だとか善人だからではなく、ただこの「理由なき偶然」によって生かされているに過ぎません。聖書はこのポジティヴな方の「理由なき偶然」を神の恵みだといいます。

 神の恵みに焦点を当てて生きるのであれば、日常の中で起きる不運な出来事の中にも神の恵みに気づくことができるような気がします。あの事故の時、相手の方も孫娘を学校に送っていく途中だったそうです。事故の時すぐに駆け寄って謝ってくれて、おどおどしていた私達を最後までヘルプしてくれました。最近でも娘の学校の前で会うと「事故の相手があなたで本当によかった」とお互いに笑って挨拶します。保険会社のエージェントも本当にいい人で、小さい子供が3人いると伝えたら新しい車が見つかるまでにとレンタカーの期限を大幅に延長してくれました。不運な出来事のなかにも神の恵みがあって慰められている現実を感じました。ただ一つ最後まで腑に落ちないことといえば、事故以来(僕の過失でないにも関わらず)運転中少しでもスピードが出たり揺れたりすると、前にも増して娘と家内から「パパッ、また事故ったらどうするの!」とダメ出しされ、まるで車に交通警官を二人乗せて運転しているような今日この頃です。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

「このコラムへの感想や質問はこちらへ → khs1126@gmail.com
礼拝:日曜日午前10時(ハンティントンビーチ)、日曜日午後2時(トーランス)
お問い合わせ:携帯 (310) 339-9635」




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