キム・ホンソンの三味一体
vol56 所有者ではなく管理者であること
2016-04-28
先日、園児達にどのようにして神が世界を創造したかについてお話しをしました。暗闇の中に光が創られ、陸と海を創った後は、ありとあらゆる生き物を創ったところまで来ると園児達が急に目を輝かせて聞き入っていました。改めて思ったのは、やはり子供達は生き物が大好きだということです。実は今ちょうど2歳になった我が家の双子ボーイズも動物が大好きです。もちろん消防車や汽車なども好きなのですが、動物にはかないません。今までたくさんの動物番組をテレビやDVDで見ているので、語彙のほとんどが動物の名前です。オモチャもほとんどが野生動物のフィギュアで、動物の絵本も大好きです。家内はこの傾向を少々心配していますが、僕は逆にそれはとても良いことで、動物が大好きなのは人間にとってとても自然なことだとすら思うのです。
実は聖書にある天地創造の記事によると、神は人間を一番最後に創造し一つの任務を与えました。それは動物をはじめ他の被造物をよく守って共に調和を保ちながら共生するという任務でした。しかし、残念ながら人間は他の被造物を人間の思うように好きにして良いと神から許可を得た、と誤解してしまったように思えます。その結果、動物の虐待や環境破壊からやがては人間同士の虐待そして戦争にいたる破滅の道に自らを追いやってしまったのではないでしょうか。
先日、今月で5歳と9ヶ月になる娘に「人間は神様がつくったの?」と聞かれ「そうだよ」と答えると「でもハサミとか紙とか色んな物は人がつくったでしょ?人間の方が神様よりもたくさんつくってない?」と言い返されました。「紙はどこからできたか知ってる?木からできているんだよ。人間は、木をこういう風にすると紙ができるんだという方法を見つけただけなんだ。それに比べて神様は何もないところから世界をつくって人間をつくったからすごくない?」と教えてあげると「へぇー」とだけ言いました。
聖書は、膨大な知識と優れた技術をもってしても自分達の住む世界を良くするよりはむしろ破壊してしまう私達のどうしようもない生態(?)を「罪」とし、人間はけして世界の所有者ではなく神から世界を託された管理者に過ぎないのだということを思い起こさせてくれます。(本能に対して特に素直な)子供達が動物好きなのは、きっと太古に神様からもらった任務に対応できるように備えられていた、人間のDNA的な名残ではないかと勝手に空想に耽る今日この頃です。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。








