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コラム

苦楽歳時記
vol195 無名の傑作

2016-04-21

 「さすが、プロですね!」

 このように言って、相手を褒めることがある。その道に精通しているのがプロであって、その知識や技術において、素人よりもはるかに優れている人物がプロである。

 けれども世の中には、オーケストラをバックにして、テレビに出演している流行歌手よりも、素人のカラオケ歌手の方が、よほど歌がうまい場合がある。

 そうなるとプロとは上手下手には関係なく、その人物が独自のパフォーマンスをすることによって、利益を生み出すのがプロということになる。

 スポーツや勝負の世界では実力がものをいうが、芸能や演芸の分野では、必ずしも卓越しているという基準だけでは、プロにはなれないのかもしれない。

 「著名人の駄作よりも、無名の傑作に興味がある」。これはフランスの或る骨董商人の言葉である。作品の本質よりもネームバリューだけに飛びついて、高額で落札させるのは投資でありビジネスであるのだろう。

 何年か前に、百ドル程度で落札される予定であった小さな絵画が、オークションの前日に、その油彩の作者がゴッホであると判明したので、約八万ドルで落札されたというニュースが報じられた。

 世間では、有名人と聞いただけで人々が群がる。いろんな催しを企画する側も、採算が取れなければ責任問題になりかねない。従って、無名の傑作を世に売り出すのは至難の業である。

 昨年、建立十周年を迎えた無名の傑作、加川文一作『海は光れり』の詩碑は、リトル東京の「ホンダプラザ」、セントラルとセカンドのコーナーにあるが、往時、建立予定地が度々変更されて、リトル東京の中をたらい回しにされた経緯があった。

 名の知れた詩人の詩碑であるならば、すぐに建立予定地が定まっていたかも知れない。日本人コミュニティーにモニュメントの数が増えることは、そのコミュニティーの教養のバロメーターでもある。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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