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コラム

苦楽歳時記
vol189 中華料理万歳

2016-03-11

 一時期、よく利用した中華料理店がイングルウッドにある。美味い、安い、早い、まさにこのキャッチフレーズがピタリとあてはまるレストラン。ただし、入り口付近に貼り付けてある衛生基準を示す値は、いつ訪れても「C」のままである。

 世間は慌ただしい昼時だというのに、オーナー・シェフ兼ウェイターの、無精髭を生やした小太りの熟年親爺が、店の入り口付近で煙草を喫みながら中国語の新聞を読んでいる。灰皿は吸殻の山。親爺の薄い髪の毛には粉状の白いフケと、頭をかきむしったときに取れた小さなかさぶたが浮いていた。

 この店で呆れることは、オーダーをとりにくる際や料理を運んでくるときに、親爺に大きなゲップをかまされることである。ある日、仲間と昼過ぎに訪れたときには、スープの中にゴキブリが二匹混入していた。もう少し衛生観念に敏感であれば、さぞ繁盛するだろうに。

 LAのチャイナタウンに三十二年前から、ひいきにしているレストランがある。チャイナタウンの北の果て、ブロードウェイにある『高朋飯店』(チャイニーズ・フレンド)。チャイナタウンで、最も小さなレストランだと思う。

 評判高い「什錦炒飯」(エビと肉類の焼き飯)は、庶民のエンペラーの味。高価で味わいのある炒飯を食べさせてくれるレストランは、ここチャイナタウンには山ほどあるが、開店以来、地元華僑の舌根を唸らし続けるためには、美味さだけではなく廉価なければならない。

 その他にも、「清炒蝦仁」(エビのむき身塩炒め)、または、「溜炒蝦」(スパイシー・ハウスシュリンプ)。そしてショウガ入りチキンスープに、今も変わらず、ぞっこんなのである。

 サンディエゴ北部、ソラナビーチの『上林宴』(キングス・ガーデン)で食したガーリックフレーバーのポークは、豚肉とタケノコとキクラゲを極細に切って、強大な火力で仕上げられていた。

 その職人の知恵と冴えわたった技は実に見事で、中国四千年の悠久がまめやかに媚びていた。庶民的かつ繊細な旨みに僕は舌を巻いたのである。

 いつの日か、また足をのばしてみようと思う。ともあれ、中華料理万歳だ!


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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