苦楽歳時記
vol183 ショートショート6
2016-01-28
『青は藍より出でて藍より青し』
フランス現代アートの巨匠、エミール・ゴーンの息子は絵を描く際に、父親と同じことをするので周囲の者を驚かせた。
その手法とは、絵筆に絵の具をつけるときに、必ずブルーの色を少し混ぜ合わせるのである。
そのことを知ったエミールは、自分と同じように必ず青い色の絵の具をつけ足しながら、カンバスに向かって絵を描いている息子の姿を見て、思わず叫んでしまった。
「ブルー足す おまえもか!」
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『郷に入っては郷に従え』
日本では父と娘が、あるいは母と息子が、小学校の低学年くらいまでは一緒にお風呂に入る。映画『となりのトトロ』でも、父親と二人の娘が入浴している場面がありました。
アメリカで同じようなことをすると、何と児童虐待になるそうだ。たとえ母と娘であったとしても、狭い浴槽の中で肌と肌を接触させることは、児童保護法によって禁じられている。
それゆえにアメリカでは、浴槽のことをバスタブーと呼んでいる。
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『手洗い』
トイレのタンクの上に一輪の花
「まぁ~ なんてきれいな水仙の花」
これが本当の水洗トイレ
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『またの名』
フランスのオランド大統領が来日したとき。
「わが国のTGV(超特急)の技術と性能は、走行中の揺れを除いては世界一だ」
「これがJRのぞみ号か、スピードに関しては互角だな」
「おまけに走行中の揺れをまったく感じさせない。先を超されたぞ!」
お付きの者が大統領の耳元でささやいた。
「またの名を震撼せんと申します」
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

