後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第358回 プロボノで対応する法律事務所
2016-01-21
あの敬老精神や人権尊重の実行はどこへいったのか。
敬老引退者ホーム四施設の売却について、反対の声が止まらない。
しかし州司法長官は既に売却を承認している。
買い手の「パシフィカ」は今月中に売買仲介機関エスクローに買収金を支払う予定だが、それでも反対の声はゴウゴウと続いている。
一月二十三日午後一時、センテナリー・メソジスト教会(リトル東京)でまた反対ののろしを上げるという。
先の一四日の集会には約二百人が参加した。
地域住民を代弁する三法律事務所のベットゼデック、LAリーガル・エイド基金、ギブソン・ダン・クラッチャーの弁護士十人をはじめ、連邦下院のM・ウォーター議員、J・チュー議員らも集会に加わった。
「敬老を守る会」のタケシ・マツモト医師はエスクローが済んでも反対運動を続けると言う。
売却の承認撤回を求める署名は約一万七千人以上に達しており、これからも続けていく方針。
相手は老人だ。法に背かなければ何をしてもいいのか。老人施設を不動産会社に売り渡すなどおかしくないのか。
彼らに老人施設の経営ノウハウなどないから、期限をつけて追い出しにかかるのではないか。
州司法長官が売却承認を撤回しなれば人権問題になるだろう。
万一、売買が強行されたら、老人一人当たり最低でも五十万㌦ぐらいの補償金をとったらいい。
三法律事務所は老人という社会的弱者の立場を考え、プロボノを適用し無料で法対応に臨む。
プロボノは貧困者や公民権、市民の自由など弱者社会の権利を保護するため弁護士が無償で奉仕する制度。
全米法曹協会が推奨しているもので、良心的な弁護士事務所ほど報酬請求可能時間の年間三~五%を無償の法的サービスに充てている。
年間最低でも五十時間のプロボノが望ましいという。
前述の三法律事務所のプロボノサービスは四施設の売却反対に立ち上がった者に、これほど有り難く心強いものはない。
希望はある。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

