今月の庭仕事
Lesson 141 スプリンクラーの散水制限通達! どう対処する?
2015-06-10
以前、果樹の休眠期における病害虫駆除について書きましたが、スプレーをしっかりされた読者の方は、去年との違いを実感しているでしょうか? もし一目瞭然でしたら、ぜひお友達にも去年との違いを見せてあげましょう。しかし油断は禁物です! ここまでは、春先の越冬病害虫の大量発生を未然に防いだだけです。気温の上昇とともに生き残った病害虫の活動環境が整うので、フォローアップを忘れないようにしましょう。
一番大切なことは、病害虫にとって適さない環境を作り出すことです。繁殖環境が乾燥していて、風通しが悪く埃っぽい環境なら、透かして風通しを改善して、水で葉を洗い流しましょう。水で洗い流す時間帯は、標的となる病害虫によって朝だったり、日没直前(夕方)だったりします。寒さが苦手な害虫は夕方に水をかけると、一晩中寒い環境を作ることができるので効果があるでしょう。
樹の周りの雑草が大きく茂って、そこが害虫の住処と考えられる場合は、雑草を除去しましょう。化学薬品は即効性があり大変良く効きます。それだけに使用方法を間違うと、取り返しのつかないことになってしまうので、説明書をしっかり読んでから使用しましょう。
さてここから、現在、皆さんが関心を持っているスプリンクラーによる散水制限についてお話します。私のカスタマーから「市から散水は、週2日、午後7時〜午前8時までの間にするようにと通達があった」とメッセージをもらいました。これは2日間隔が1回、3日間隔が1回というスケジュールになります。もし火曜日を散水日に指定すると、次回の散水は土曜日です。今はまだ6月初旬で涼しい日が続いているので、あまり問題は浮上してきませんが、現状のまま何もせずに、高温の日が続くサマータイムを迎えるとどうなるかと、想像しただけで恐ろしくなります。
“深水すればいいだけの話”と思っていませんか? “深水=スプリンクラーによる散水時間延長”で節水は可能でしょうか? もちろん散水可能な日が2日に限定されるので、水の使用量は確実に減少します。しかし、保水性を高めておかないと、水は表面を流れてしまうので、時間延長しても水はちゃんと土に滲みこんではくれません。これではせっかくの深水も意味がありませんね。さらにもう一つ考えなければいけないことは、「水の蒸発を最小限に防ぐには、どうしたらいいか?」。対策はレッスン143回で。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟・購買部会長の新垣安徳さん。「今月の庭仕事」の18回目から、自分の経験を元にコラムを書いていて、失敗&成功例まで経験豊富!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

