後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第339回 頭の痛い民主、共和の前哨戦
2015-08-27
米国のボス、大統領を決める選挙が来年十一月八日に行われる。
党の候補指名を得ようと有力候補の駆け引きが激しさを増している。
革新党の民主党は前国務長官ヒラリー・クリントンら五人が名乗りを上げている。
国務長官時代に私用メールで機密情報をやりとりしていたとの疑惑が持ち上がる今年三月まで、クリントン人気は絶大だった。
先見の天才、大投資家ウオレン・バフェットは昨年秋、「クリントンが民主党候補になり、大統領に当選する」と予想した。
しかしそれはメール疑惑の持ち上がる以前のことで、クリントン絶対と断言できる状況ではなくなった。
この不安要素のなかで副大統領のバイデンが十月一日までに指名レースに参戦するのではないかと噂されている。
オバマ大統領はバイデン支持を示唆しており、副大統領の動向に注目が集まっている。
保守党の共和党は不動産王の異名をもつドナルド・トランプや前フロリダ州知事のジェブ・ブッシュら十七人が候補の座を狙っている。
トップを走るトランプには暴言、失言が多い。他の候補とのFOXテレビ討論で「女性を太った豚、犬、だらしない醜い生き物と、かつて呼びましたね」と女性キャスターに詰問された。
彼は他の番組で「目から血が出ているのが見えた。他のどこからも血が出ていたよ」と発言。
これがメンスの鮮血ととられ女性の反感をかっている。
NBCテレビではメキシコ移民を侮辱。「彼らは麻薬と犯罪とレイプの元凶だ。大統領になったら万里の長城を築く」と語った。
ヒスパニック票のほしい共和党はハラハラのし通しで、トランプの暴言に困惑している。
その空気を察してか彼は「共和党候補になれなかったら、無所属で出る」と息巻いている。
一九九二年、共和の父ブッシュと民主の夫クリントンの戦いに実業家ロス・ペローが無所属で参戦し保守票が割れて現役の父ブッシュが負けるという悪夢を経験した。
民主党、共和党ともに頭の痛い前哨戦だ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

