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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第337回 ハリウッドボウルのハプニング

2015-08-06

G・ドウダメルは一瞬指揮棒を止めた。
彼の戸惑う顔がステージ横のスクリーンに映し出された。
 ここは今夏のハリウッドボウル。
チャイコフスキーの「交響曲第五番」を振り終えたドウダメルが、休憩を挟んで「白鳥の湖」二幕の「四羽の白鳥たちの踊り」に取り掛かったところだった。
早いテンポの四分の二拍子だった。突如、車の盗難発生警報装置が付近の駐車場で作動、ハリウッドボウルの谷間に響きわたった。
音楽と同じテンポで轟く警報の断続音に、彼は不意をうたれた。
二輪車のスロットルグリップを両手で握った格好で指揮棒が宙で止まった。演奏も止まった。
聴衆のなかから失笑が巻き起こった。
幸い警報は十数秒で止まり、元のクラシックムードに戻った。指揮棒が再び活発に動き始めた。

過去にもハプニングはあった。
スロバキア東部のコンサートでヴィオラ奏者のL・カミットが無伴奏を弾いていると、携帯電話の着信音が鳴った。
彼は演奏を中断した。いったん鳴り止んだ着信音がまた鳴った。
すかさず即興で着信のメロデイーを弾いた。彼の機転に正規の演奏以上の拍手が来たという。
指揮者カラヤンとベルリンフィルは音楽界ではゴッド(神)の扱いだ。晩年のカラヤンがベルリンフィルを連れて大阪にやってきたときのこと。
R・ストラウスの「ドンファン」の冒頭は威勢よく始めなければならないのに、そーっと指揮棒を振り始めた。
ふいを突かれた各奏者はバラバラに出てしまい全く揃わなかった。
ポカに気付いた彼は指揮棒を止め平然と初めからやり直した。ゴッドのミスに聴衆は呆気にとられてしまった。

トヨタ勤務のゲルマン喜子さんの世話で妻と演奏会に出かけた。
先着のLA東京会の笠久乃さん、着付けの芥川婦身姉妹、桜井ドクター夫妻、矢内久美子さんらから笑みとワインが届けられた。
花火とカノン砲の「一八一二年序曲」を最後に聴いて家路についた。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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