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コラム

苦楽歳時記
vol154 断腸

2015-07-02

 巷では悲しいニュースが後を絶たない。幼い子供の命が奪われる事件や何の罪もない子供たちが、テロや戦争の犠牲となって死んでいくニュースを耳にすると、胸がキリキリと痛む。だが、心がうずくのもつかの間、人間は日常の雑事にかまけて、他人の災いは直ぐに喪失してしまう。

 悲しみのどん底に突き落とされると、腸がちぎれるほど悲しくなる。そして自暴自棄に陥る。「断腸」とは、子を亡くして悲痛の末に死んでしまった母猿の腸が、細裂(こまさ)かれていたという故事に由来する。

 他者のことでも自分のことのように断腸の思いにかられて、行動に出たのはマザー・テレサだ。「愛の反対は憎しみではなく、無関心でいること」。マザー・テレサの金言は、先進諸国の人々に対して警鐘を乱打したが、その言葉にさえ人々は「無関心」であった。

 次から次へと新しいニュースが飛び込んでくる。そして忘れられる。しかし地球のどこかで、貧困、病、紛争に苦しんでいる人々は絶えない。マザー・テレサのように、継続して無償の愛を施すことは至難だが、彼女が遺した教訓から、何らかの糸口を見出せるのではないだろうか。

 「私たちは大きなことはできません。ただ、小さなことを大きな愛をもってするだけです」。
世界の飢餓、貧困、災害、紛争に苦しむ子供たちの支援活動をおこなっているワールド・ビジョンは、世界中の人々に呼びかけている。

 「一人で何もかも変えることはできないけれど、一人を助けることから、世界は変わっていきます」。ワールド・ビジョン www.worldvision.jp/ では、チャイルド・スポンサーシップを募集している。

 十二、三年ほど前に、かつての僚友であったY君からメールが届いた。三年前に高校生の長女を白血病で失い、この度、高校を卒業したばかりの長男を交通事故で亡くしてしまった。親にとって、逆さ別れほど悲しいことはない。さぞ断腸の涙を流したことであろう。

 あれから数年後、受話器から聞こえてきたY君の言葉が忘れがたい。「悲しくて、悲しくて、身も心も張り裂けそうだったけれど、どん底に突き落とされて聖書を読んでいると、真実(まこと)の愛が見えてきたよ」。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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