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コラム

苦楽歳時記
vol151 闘病記

2015-06-11

 昨今の吾輩は、執筆する速度がとみに遅くなってきた。粗方、七年間にも及ぶ悪疾との闘いが要因である。

 昨年の十一月、骨に癌腫が本格的に転移した。今年の五月に右胸の骨がむき出しになって傷口のところが破れ、大量の出血が止まらない状況になっていた。

 毎日、ラディエーション加療をしているが、治療が終わると脱力感と精神力の低下が顕著に表れる。一日中朦朧(もうろう)とした虚ろな状態で過ごしているのが現状だ。

 厄介なのは、増殖した骨の癌腫に痛みがあるから、欠かさずに鎮痛剤を服用しなければならない。

 調子の良い日もあるが、ほとんどが頭に靄(もや)のかかっている状態である。後半生、まだまだ闘病生活を続けなければならないのだろうかと呻吟する日々である。

 つい、四、五日前、立ちくらみがして身体が痙攣(けいれん)。総身に激痛が走り冷や汗が全身を覆った。このときばかりは、もはやこれまでかと覚悟を決めた。

 日毎夜毎が決死の闘いである。悪疾と格闘するのもくたびれ果ててしまった。本当に辛くて、筆舌に尽くしがたい苦しみを味わっている。いつまで本紙にコラムを執筆できるのかわからない。

 最近、嫌な想い出ばかりをくり返して思い出す。否定的な己の心理状態を垣間見ているようだ。

 病のことをばかり闘っているわけにはいかない。吾輩が大患に倒れてからは収入が激減し、とうとう家人も体調を崩して職を失ってしまった。

 わずかばかりの貯えも尽きてしまったので、年内にはフォークロジャーとバンクラップが、手ぐすね引いて待ち構えている。

 あの手、この手の知恵を絞って、専門家のアドバイスにしたがっているものの、もはや万事休すだ。三十五年前、夢と希望を胸に渡米してきたのに無念至極。微々たる目標も達成できていない有様だ。

 これもまた、吾が人生なのだろう。けれども、吾輩は心から主を信じている。喜びとと光明を抱き、とことん生きてやる。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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